2015年度分名張市議会編 昨年マニュアル改正


福田議員は提案理由で「明らかに恣意的なマニュアル違反だと言わざるを得ない」と指摘し、柏議員に対し「不満や異議があるなら議運委で議論する時間があったにもかかわらず、行動を起こさなかった」と批判。質疑では「議運委の在り方を否定されている」と動議への賛同を求めた。
採決で反対した議員は、質疑で「どれだけ話し合いの時間を持ったのか。互いの言い分で正しいところを見つけていくのが政治家だ」「広報の内容に基づいて3分の1というルールがある。中味そっちのけで『守れ』はおかしい」「市民から何をやっているんだと思われるのは目に見えている」などと意見した。賛成した議員からの質疑はなかった。
ルールではなく指南書


採決の後、福田議員は取材に対し「反省しないのは命令ではないから構わない。ただ、残念なのは持論を述べるだけで建設的な意見がなかったこと。今後は政務活動費が市民の中で議論になればいいと思う」と答えた。
伊賀市議会では政務活動費の使途基準などを決める場合、最終的に全員協議会で報告、了承された事項のみ採用や改正をしている。
宿泊伴う視察・研修あれこれ
TSUTAYA図書館 領土問題も
名張市議会(定数20)が議員報酬とは別に調査研究活動などとして支給される2015年度政務活動費の収支報告をまとめた。交付額は960万円で、残額77万1546円は市に返還した。同年度分の資料は市役所1階の市民相談室で自由に閲覧できる。
同市議会の政務活動費は会派支給で、議員1人当たり年間48万円。清風クラブの5人と心風会の4人、無会派の柏元三議員が交付額以上に支出し、自己負担した計18万7056円を除く議会全体の執行率は92%だった。
9つの支出項目で最も割合を占めたのが調査研究費の約332万4千円だった。次いで研修費約265万9千円、事務機器購入などの資料作成費約115万1千円が多かった。
宿泊を伴った視察や研修は全体で41件あり、各会派から選出された「ものづくり条例検討委員会」のメンバー5人は都内や静岡市を視察。清風クラブは都内や福岡県で開かれた佐賀県武雄市の樋渡啓祐前市長が講師を務める研修に参加した。同氏が在職中に手掛けた全国初の公設民営による「TSUTAYA図書館」の運営や教育改革を学ぶため、公明党の4人とともに武雄市にも赴いている。
調査研究費で約140万5千円と他会派に比べて突出していた心風会の4人は、地域活性化で沖縄県石垣市に、ものづくりアクションプランで松江市を訪問した。領土問題も視察目的で、両県が抱える尖閣諸島と竹島に関連した施設や機関も訪れた。
日本共産党の田北利治議員と春風会(15年9月解散)の山下登議員、当時無会派の足立淑絵議員も松江市を視察している。3人は町づくりと町おこしが目的だった。
その他経費は約94万3千円。同市議会は政務活動費マニュアルを昨年7月に改正するまで、県内の市議会で唯一、携帯や固定の電話代の請求に対し領収書の添付なしで認め、1人につき月額5千円まで支出できた。
改正後は添付を義務化。更に電話代を始め、自宅のパソコンや議会費で購入し議員全員に貸与しているタブレット端末のインターネット代などを「通信費」として同額内に収めるよう変更した。電話代の一部を支出したのは日本共産党の2人と川合滋議員、柏議員、山下議員を除く15人。貸与されたタブレット端末のネット代の一部は20人全員が充当した。
同市議会の交付額は昨年9月の定例会で可決した特例条例案を受け、今年度分から改選まで月額で1万円少ない年36万円に減額している。