
「見直すいい機会になった」
名張市議会の市議に支給されている政務調査費について、YOU紙面で連載中の「スッキリしてる? 政調費」が、5回目を迎えた。取材を続けるなか、議会と市民との感覚や常識のズレが見えてきた。そこで、今回は永岡禎市議会議長(48)に直撃インタビュー、疑問点を投げかけてみた。
市政のため有効に
今の報酬は必要
■就任後の成果は
――議長は所信表明で「民意を汲み上げる議会にしたい」と述べているが、就任後の成果は。
永岡市議長 「特に予算・決算部会の設置は議運委の皆さんに理解いただいて4月から動き出す。また、クールビスも6月から実施する。議会改革などの話し合い回数は3倍に増やしてきており、順調に進んでいると思う」
■議会内の反応は
――YOUの紙面で連載している政務調査費について、議会内の反応はどうか。
永岡市議長 「全国的に話題になりやすい部分だが、自信を持って使っている議員もいるし、あまり分かっていない議員は勉強する機会になった。2008年度分からは誰が見ても見やすい報告書の作成ができたし、基準的にYOUで『?』を付けられている部分についても、議会内で議論しているので、大丈夫と確信している」
■電話代の請求は
――県内で名張市だけが政調費として使用した電話代の請求について、月額5千円を上限に認めただけでなく、08年度分から領収書なしとしたが、市民に説明責任を果たせるのか。
永岡市議長 「本来からいえば逆行することかもしれない。それは議会内できちんとした使い方をしようと諮った上でのこと。これは市民から指摘されても説明できる。(YOUで)記事になったことで、政調費全体を見直すいい機会になった」
■対応の改善は
――今年度分の収支報告書から、記入方法などの見直しを行うとしているが、これまでも購入図書名の記入漏れなどがあり、会派によって対応はまちまちだ。これで、本当に改善されるのか。
永岡市議長 「記入漏れが無いよう、徹底する。書籍名の記載がなかったことなど過去に通ってきた部分は怠慢だったと考える」
■備品台帳の記録は
――政調費については、各会派の経理責任者が会計帳簿の管理や5万円以上の備品類を台帳に記録することにしているが、ある会派では「備品台帳は現在記録していない」と話していたが…。
永岡市議長 「この間も会計管理者懇談会を開いた。09年度から徹底したい。また、名張市は視察に行く場合、事前申請となっているのに前日申し出る議員もいる。次回からは認めないと言ってある」
すでにレッドカードかも
■市の財政は
――市は中期財政見通し(一般会計)について、今までと変わらず行財政改革を続けたとしても、2010年からの3年間で28億円の財源不足が生じ、今後の財政状況はイエローカードだと市民に説明しているが…。
永岡市議長 「(市長は)4年間我慢すれば、次は大丈夫と言っていが、国の補助・交付金などの政策転換があったとしても中期見通しではまだ28億円足りないと言い出した。個人的にはイエローカードで済むとは思わない。本当はすでに(市の財政は)レッドカードかもしれない」
■報酬や定数は
――市民から寄せられた意見だが、行政を会社組織に置き換えると、市長は社長、議員は役員にあたる。厳しい経営状況から昨年暮れごろから、役員報酬50%減額と、役員の定数削減といったような経済ニュースをよく目にするが、議会はこの点をどう考えるか。
永岡市議長 「感覚が違う。報酬とあるが、名張市のような田舎なら、実際の半分は生活給に等しい。副業を持たない議員の場合、4年に1度の選挙結果次第では、生活もままならなくなることもある。議員として片手間でいい、ボランティアでいいなら別だ。しかし、それで名張市のことを本当に何とかしたいと思っている、若くて、やる気のある人が出てくるのか」
■議員歳費の見直しは
――行政サービスの低下に市民の不満も募る一方だ。一方で、政調費の交付額は県内で名張市が4番目に高い。住民と痛みを分かち合うという意味で、政調費を含め、議員歳費を見直す時期がきているのではないか。
永岡市議長 「本来、政調費はいかに市政を良くするか、そのために月4万円分を有効に使うものだ。市民には安いほうがいいという意見が多いというが、もっと出してやって、レベルを上げてという人もいる。
私個人としては名張市議会には今の人数、今の報酬は必要だと考える。しかし、予算決算部会で、来年度予算についても研究したと考えているが、状況によっては報酬等審議会が開かれる8月までに例えば36万円にしようとか、10万円削ろうという議論になってくるだろう」