設立10年を振り返る(三重乳がん検診ネットワーク)

▲リーフレットを手にする小林医師
=津市江戸橋で
三重乳がん検診ネットワーク(竹田寛代表)が、今年設立10年を迎えた。これまでにネットワークに登録した人の数も、県内検診受診対象者の4分の1に当たる約13万人に達した。今回はこの10年の乳がん検診の状況や、登録データの活用などについて、三重大学医学部附属病院の小林茂樹医師に話を聞いた。
―乳がん検診受診率は上がってきているようですね
ここ10年で徐々に上がってきたのは喜ばしいことです。ただ、2013年の国民生活基礎調査によると、ようやく4割を超えた程度。つまり6割の人がまだ受けていない状況です。
―乳がんになる人の数はどうでしょう
現在、日本では女性の12人に1人が乳がんになると言われています。ネットワークのリーフレットを見てください。05年のデータを基に作った20人に1人、というものを変更しました。それだけ乳がんになる人は増えてきたのです。
―データ入力開始から10年ということは10年分の検診受診データを持つ人もいるということですね。一定期間の受診データを持つメリットは何ですか
医師が画像を見て診断するときに、前回の結果を参考にできることです。数年分のデータのうち、特に直近の3年分程度を見ます。そうすることでより正確に診断ができるのです。また、その時の乳腺の状態、撮影の仕方で診断しにくい場合にも過去のデータは参考になるでしょう。
―ネットワークは10年にわたって、乳がんの早期発見早期治療を呼び掛けています。「早期」を強調するのはなぜでしょう
がんは治る時代になりました。特に自覚症状のない早期に発見すれば治る確率はより高くなるからです。乳がん治療にかかる費用も早期であるほど少なく、予後も違います。
―マンモグラフィによる乳がん検診を受ければ早期に見つけられるということですね
ネットワークが集めたデータを分析した結果、検診で見つかったがんの7割以上は早期がんでした。乳がん検診は乳がんの早期発見に役立つと言えます。今年も各市町の乳がん検診が始まっています。まだ受けていない40歳以上の女性はぜひ、受けてください。また、これまでに受けたことのある人も、定期的な受診が大切です。2年に一度は検診を受けましょう。
「伊賀タウン情報YOU 2015年8月後半(658)号」より