国50%目標 … 名張市 5.8%、伊賀市9.1%
国はがん検診率50%を目標としている。国の補助金は1982年度から16年間続いたが、それ以降は自治体の一般財源で負担するようになった。県下の乳がん検診率(13.6%)を大きく下回る名張市(5.8%)、伊賀市(9.1%)の集団乳がん検診について取材した。
【乳がん検診の受付をする市=名張市朝日町の市保健センターで】
名張市は
名張市の乳がん検診はマンモグラフィ(乳房X線撮影)とエコーを春秋の2期に分け、60人ずつ計24回、1440人の定員で実施。そのうちマンモグラフィは40歳以上で偶数年齢、エコーは20歳以上の名張市民が対象で、自己負担金はマンモ1500円、エコー1000円。市民税非課税世帯、生活保護世帯の人は「自己負担金減免申立書」の記入により免除される。
検診は市保健センターが会場。三重県健康管理事業センターに委託していることから、マンモ検診者には三重乳がん検診ネットワークの登録カードが発行される。
秋の集団がん検診は9月から12月までに18回実施されることになっており、8月1日から先着順で受け付ける。
問い合わせは市保健センター 電話63-6970へ。
伊賀市では
伊賀市の乳がん検診はマンモグラフィのみ。対象は30歳以上の伊賀市民で、自己負担金は1300円。1939年3月31日以前に生まれた人、65歳以上の重度障害者で後期高齢者医療被保険者証を持つ人、生活保護世帯の人は費用が免除される。
乳がん検診の希望者が年々増えていることから、前年度の申込者数を考慮して今年は約1千人の申し込みを受け付ける予定。検診の委託先は入札で決まった名古屋セントラルクリニック。
検診は7月から来年3月まで市内の数か所を会場に14回実施されることから、申し込みは6月から順次開始している。
問い合わせは市健康推進課 電話22-9653へ。
※受診率は厚生労働省05年資料統計
検診 各市町でばらつき
 【相談にのる会員たち(右端が雪岡さん)=夏見で】 |
患者や家族の相談受付
「名張市がん・難病相談室サポーターの会」(清野玉男会長)が全国に先駆け活動を始めたのは2005年11月。同市夏見の勤労者福祉会館の相談室で、毎月第2土曜日午後(2009年12月から、第3土曜日午後1時から4時に変更)、訪ねて来るがん患者や家族らの相談にあたっている。
同会は、「がんを明るく前向きに語る・金つなぎの会」のメンバーが呼び掛け、スタート。会員は伊賀地区在住のがん患者とその家族を中心に24人。相談を受けるほか、検診の啓発活動やイベント参加、勉強会のほか親睦会なども開催。
会員の一人で、伊賀市内の病院で看護助手として働く雪岡潮枝さん(48)は1年半前、左乳房のしこりを自分で見つけた。三重大附属病院で左乳房全摘の手術を受け、その後、抗がん剤治療を8回。さらに30回に及ぶ放射線治療に耐え、昨年9月、念願の職場復帰を果たした。再発の不安に襲われるが、「これからの人生を自分のためにも他人のためにも生かしたい」という。
清野さんは「病気の仲間に出会って話をするだけで免疫力が上がるので、引きこもらず、気軽に相談に来てほしい」と呼び掛けている。
自己負担額に大きな開き
県内の市町が実施している乳がん検診。触診、マンモグラフィ(乳房X線撮影)、エコー(超音波診断装置)の3種類の検診方法があるが、県内の自治体の実施状況をみると、診の組み合わせ、受診者の対象年齢、検診にかかる自己負担額のいずれも市町によって大きなばらつきがある。YOU&RAKU取材チームによる実態調査をまとめてみた。
調査は4月下旬から1か月間かけて、北勢、中南勢、伊賀の3地区のうち12市6町を対象に実施。担当窓口を訪ねたり電話による取材を重ね、まとめた。
これによると、エコーとマンモグラフィを組み合わせている所が多い。40歳以上でもエコーを組み入れ、より正確な検診を目指そうという市町もある。だが、マンモグラフィのみを行っている市町もある。これについて四日市市や伊勢市は、エコーによる乳がん検診を行わない理由の1つとして厚生労働省が定めた「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」を挙げる。検診方法について同指針は「乳がんについてはマンモグラフィを原則として実施すること」とし、「エコーによる検診については有効性を確認中」という理由で触れていないためだ。
年齢や日程にも差
また、自己負担金額についても、市町によって大きな開きがあり、生活保護世帯や市民税非課税世帯を無料にしている自治体もあった。その他、対象年齢や検診日程などにも差異が見られる。
市町村のがん検診については、1998年から国の補助金が廃止され、市町村が自ら企画、立案し実施する事業となった。厚労省の同指針に基づいて検診事業を実施しているとはいえ、詳細の決定は各市町村に一任されているという。乳がん検診一律でない理由はここにある。
各市町村の検診のあり方は、検診受診率にもつながる。2005年度の三重県の乳がん検診受診率は13・6%だが、津市では30・9%をマーク。40歳以上でもエコーが受診できるほか、病院での個別検診の充実や乳幼児健診時に母親へ乳がん検診を促すといった啓発活動をしているという。
三重乳がん検診ネットワーク代表で三重大学医学部の竹田寛教授は「人口10万人以上の都市で乳がん検診の受診率が30%を超えるところは多くない。津市が検診事業を大切にしていることをうれしく思う」と話した。
市町村の財政事情も影響するといわれている検診事業。定期的な受診率向上のためには、受診しやすいシステムの確立が急がれる。
*市町村検診を実施する機関は指名入札制度などで決定する。今年度、県内23の市町(表以外の市町を含む)は三重県健康管理事業センターに委託。同センターは「三重乳がん検診ネットワーク」に加入しているので、登録カードを発行してもらえる。