12月20日全国公開
人気アニメ「忍たま乱太郎」の映画「劇場版忍たま乱太郎ドクタケ忍者隊最強の軍師」が12月20日に全国公開された。監督を務めるのは三重県名張市出身で埼玉県在住の藤森雅也さん(60)だ。
中学2年の夏、大阪から名張市に転居。桔梗が丘中学から上野高校に進学後、大阪芸術大学の映像計画学科(当時)に進み、卒業する22歳まで同市で過ごした。
1987年、アニメの制作会社「亜細亜堂」(埼玉県)に入社。アニメーターとして活躍し、「ちびまる子ちゃん」「ドラえもん」など数多くの作品の原画や絵を監修する作画監督を務めた。「忍たま乱太郎」と関わり始めたのは、テレビ放送が始まった20代後半のころ、キャラクターデザインで番組に参加したのがきっかけだった。
40歳を過ぎたころ、「監督をやってみないか」と勧められ、2010年公開のアニメ映画「おまえうまそうだな」で監督デビュー。11年には映画「忍たま乱太郎 忍術学園全員出勤!の段」で監督、絵コンテを担当した。
忍者アニメは「運命」
一昨年、13年ぶりに「忍たま乱太郎」の映画化が決定。脚本に「高い所にあるススキ野原での戦いのシーン」があり、ロケ地として曽爾村の「曽爾高原」がすぐ浮かんだという。名張に住んでいたころ、度々訪れ、亀山峠にも登ったことがあった。
「絵を頭の中で作り、表現するには、現地に足を運び、そこで体感することは重要。リアリティーが出る」と考える藤森さん。中学時代の友人3人に案内役を依頼し、昨年9月末、十数年ぶりに名張へ帰郷した。
友人たちと登る峠への道のりは、当時に時を戻し、変わらない友情に心温まる楽しい時間を過ごせたそうで、「行ってよかった」と振り返る。「ススキの群生の中に飛び込むことは不可能」などの発見もあったそうだ。
映画の中でも峠から見た景色に似た風景が登場するそうで、香落渓の崖のすごさも採り入れ、よく似た垂直の崖が出てくるという。映画では、忍術学園の生徒と教師の結びつきや絆が主に描かれている。アクション満載で迫力ある戦闘シーンもあり、子どもだけでなく大人も楽しめる作品に仕上がったという。
「思えば、高校時代を中心に伊賀地域で生活していたので、忍者は常に身近だった。忍たま乱太郎に携わるのは運命だったのかな」と藤森さん。「自分にとって一番合った表現方法がアニメーション。今後は、制作もだが、後進育成にも力を入れたい。そして地元の皆さんにぜひ映画を見て頂きたい」と話した。