12月28日に開幕する「第103回全国高校サッカー選手権大会」に三重県代表として2年ぶりに出場する津工業高校(津市)は、県内公立校のサッカー部では最多の部員数(114人)を誇る強豪。2年前の大舞台を経験した守護神、チームをまとめる主将を含め、トップチームには伊賀地域出身の選手が5人いる。
県予選で4試合連続ゴールを決めた主将のMF土谷飛雅さん(3年)は、名張市立南中時代にディアブロッサ高田FC(奈良)でプレー。伝統のパスサッカーが息づく津工業にあって、幼少時から磨いてきた巧みなドリブルと決定力を強い武器に、2年前の同大会も1年生ながらメンバー入りしたが、ベンチ入りはかなわなかった。
現チームで唯一、2年前のベンチの空気を知るのが、身長184㌢のGK中尾楓汰さん(3年)。伊賀市の青山ジュニアキッカーズ、青山中でサッカーを続け、高校入学後は国体選抜候補にも名を連ねた。県予選では準々決勝、決勝と2度のPK戦で好セーブをみせるなど、片野典和監督(47)をして「間違いなく県下ナンバーワンの守護神」と言わしめるほどだ。
チームの精神的支柱である2人に続く2年生が、青山中出身のMF林叶希夢さん、上野南中出身のMF杉本隼典さん、DF山本遼生さん。中学時代はFC アヴェニーダソルのチームメートで、「仲の良い3年生と少しでも長くサッカーができたら」と、県予選でも各自の役割を果たしてきた。
上野工業、伊賀白鳳で計11年指導した片野監督は、県予選で「ベンチの半数以上を占める2年生がチーム力を押し上げているが、引っ張る3年生の強さを改めて感じた」と振り返る。「控え選手やスタンドから大きな力をもらって勝ち切ることができた。2年前、終盤しか自分たちのサッカーができなかったあの大舞台で、最初から自分たちの色を見せていきたい」と語った。
初戦は12月31日の2回戦で、世田谷区駒沢陸上競技場で東京A代表の堀越と対戦する。大会を前に、土谷さんは「一戦一戦大事に、やるからには相手との違いを見せ、優勝を目指したい」、中尾さんは「全国の舞台はレベルが高いが、そこで勝てるチームづくりをしてきた。個人としては、高校選抜に選ばれるよう結果を出したい」と抱負を話した。