三重県の伊賀市長選と市議選の投開票から一夜明けた11月11日、同市役所で当選証書の付与式があった。現職ら他候補5人を破り新たな市長に選ばれた、新顔で前県議の稲森稔尚氏(40)は「市民の期待と現市政を変えてほしいという願いの大きさに重責を感じており、しっかり受け止めたい。他候補に投票した市民の思いもくみ取って新しい市政を進めたい」と心境を語った。
地域政党「草の根運動いが」の代表。選挙戦では「市長と市民のつながりを結び直す」と支持を訴え、1万5184票を得た。情報公開と説明責任を徹底し、市民の参加と協働を促すために、この日も「市長室でふんぞり返っているような市長ではなく、現場で頑張っている人の意見を聞いて自ら出向いていく姿勢、議会との議論を大事にしたい」と対話重視を強調した。
就任後最初に取り掛かるのは、佳境に入った新年度の予算編成のチェックを挙げた。「一つは18歳成人式の予算で、削除する必要がある。20歳の集いに変更し、来年5月予定の18歳を対象とした式典は実施しない」と述べた。
公共の施設やサービスのあり方にも触れ、「廃止予定からの復活も選択肢の一つに再検討する委員会を立ち上げ、住民参加で議論してみたい」と言及。公立保育園の民営化計画は「阿山、青山地区の民営化は撤回したいと考えている」、美術博物館の建設計画は「基金を積み、20年以上検討してきた芭蕉記念館をしっかり先行させ、箱物としての美術博物館は見直す」との考えを示した。
また、「スピード感をもって公約を実現するため」として、横断的なプロジェクトや危機管理など市長の政策判断に近い分野を取りまとめる市長公室や、農林振興部を設置する案を来年度の機構改革に盛り込む構想を明かした。副市長人事の議案も来月の本会議に提出できるよう、調整を進めていくとした。
自主解散で市長選との同日実施となった同市議選の当選者もこの日、証書の付与式があった。立候補者は定数22に対し25人で、当選したのは前職15人と元職1人、新顔6人。今月22日の本会議で正副議長選挙などを実施する。