【長田選手】

 今夏の「第106回全国高校野球選手権」で全国の49代表校の頂点に立った京都国際高校(京都市)。優勝が決まった直後、マウンドにできた歓喜の輪には、背番号10を付けた三重県伊賀市出身の長田塁選手(3年)の姿があった。激闘から半月後、地元に帰省し、「2年半、つらい練習も楽しかったことも、自分たちが信じてやってきたことは間違いじゃなかった」と思いを語った。

 硬式の伊賀中央ボーイズでプレーした崇広中時代は、3年時に県選抜メンバーに選ばれるなど、中心選手として活躍。同学年のチームメートたちが県内へ進学する中、「県外へ出て自分の力を試したい」と、練習を見学した時の雰囲気が良かったという同高へ進んだ。

 グラウンドが狭いため、打撃練習は室内練習場で行い、練習時間は守備の割合が高かったという。身長180センチの本格派右腕も、最後の夏は決勝までの全6試合で出場機会は巡ってこなかったが、出番に備えてブルペンで肩を作り、重要な局面では伝令としてナインを鼓舞。エースの中崎琉生選手には「お前を信じてるからな」と強い言葉もかけたという。

 9月初旬、伊賀中央ボーイズの練習に顔を見せ、後輩たちからの質問に答えていた長田選手は「ベンチの雰囲気も特別で、誰もが経験できる6試合ではないと感じた」と振り返り、「一つひとつのプレーだけでなく、当たり前の礼儀やマナーなど、今やっていることを大事に続けていってほしい」と伝えていた。

 伊賀中央ボーイズの永浜春喜監督は「継続して努力する大切さを体現してくれた。次の目標に少しでも近付き、地元の人たちに夢を与えてほしい」と言葉を掛け、長田選手は「甲子園で投げられなかった悔しさを胸に、まずは10月の国体に臨みたい」と語っていた。

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