家族の介護や世話などを日常的にしている子どもら「ヤングケアラー」について知ってもらおうと、三重県の名張市社会福祉法人連絡会がパンフレットを作成した。市役所窓口や地区市民センター、学校などで配布する。
同連絡会は、地域貢献などを目的に2020年に発足。市内で介護施設や障害者施設などを運営する13法人が加入している。
昨年12月、大阪のNPO法人からヤングケアラーの当事者2人を講師に招いて市内で講演会を開いたところ、市民ら約80人が参加。「周りに居たら無関心であってはいけない」などの感想が寄せられ、反響が大きかったという。同連絡会は、より多くの人にヤングケアラーについて知ってもらおうと、パンフレットを作って配布することにした。
パンフレットでは「家族に代わり幼いきょうだいの世話をしている」「障害や病気のある家族に代わり料理や洗濯、掃除などをしている」など、ヤングケアラーに多い具体的な状況を、イラストを交えて紹介。相談窓口の電話番号なども掲載している。
同連絡会の市川知惠子会長は「ヤングケアラーは自分で気付きにくく、周囲が気付かなければならない。子どもが子どもらしく育つまちであってほしいとの思いで作った」と話した。
名張で22人把握
名張市は2021年、ヤングケアラーを含む「ケアラー」の支援条例を東海地方で初めて制定した。市が把握している市内のヤングケアラーの人数は、昨年12月末時点で22人。28人だった20年と比べるとやや減ったが、市福祉子ども部の担当者は「声を上げることができていない子どもが、まだいる可能性がある」と話す。
法改正で支援明記
6月5日、国会でヤングケアラーの支援を明文化した改正子ども・若者育成支援推進法が成立した。改正法は、ヤングケアラーを「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」と定義。国や自治体が支援に努めるべき対象として、対応を強化することが明記された。