三重県警名張署は5月20日、店頭での声掛けによって特殊詐欺の被害を未然に防いだとして、嶋田敏署長が南都銀行名張支店(名張市元町)とセブインイレブン名張蔵持町原出西店(同市蔵持町原出)に感謝状を贈った。
同署生活安全課によると、同支店に今年5月1日、80代男性が「SNSで宝くじに当選したので、お金を振り込んでもらうための口座を作りたい」と1人で来店。応対したパート行員の大澤舞さん(42)が詐欺と直感して上司に報告し、同署へ通報した。
男性は数億円単位の当選金がもらえると話し、警察官の説得にもしばらく応じなかったという。感謝状を受け取った下川哲也支店長(54)は「同様の事件が多く、口座を作る場合は必ず目的を尋ねるよう伝えている」、大澤さんは「ここまで変なケースは初めてだと思ったが、防げて良かった」と話した。
同店には4月29日、「パソコンがフリーズしたので、電子マネーカードを買いに来た」という70代女性が1人で来店し、応対したアルバイト店員の常本茉凜さん(18)が冨森雅彦オーナー(51)に報告。女性に事情を聴くと、携帯電話で海外からの着信と思われる番号からの通話を続けていたため、冨森オーナーは「すぐに切ってください」と伝え、同署へ通報した。
女性は4万円分の電子マネーカードを購入するつもりで来店したが、売り場が分からず戸惑っていたという。冨森オーナーは「高齢の方が用途の分からないものを求めるケースでは必ず詐欺を疑うようにしている。(応対した常本さんは)実際にこう言ったケースがあったことに驚いていたが、『未然に防げて良かった』と言っていた」と話した。
同署によると、今年1月から4月までに発生した特殊詐欺は、同署管内で5件、被害額は約440万円で、県内では83件、約1億2880万円の被害が出ているという。