【留い川の川床に土のうを運ぶ児童ら=名張市黒田で】

 生息するナマズの遡上(そじょう)や産卵を助けるため、国土交通省木津川上流河川事務所(三重県名張市木屋町)は5月11日、市内を流れる名張川と支流の合流点付近に簡易魚道を設置した。この日は地元の小学生17人も参加し、産卵期を控えたナマズが来るよう願いながら、土のう作りなどの作業に汗を流した。

 同事務所によると、名張川と支流「留(とめ)い川」の合流点付近は、2019年の河川改修で新設した樋門の周辺整備の影響などで段差が大きくなり、ナマズが遡上しにくくなっていたという。ナマズは川から水路や田んぼ、沼などに入って産卵する習性があるため、21年から毎年この時期に合わせ、同事務所が市内のNPOと協力し、5月中旬から6月中旬の産卵期に合わせて簡易魚道を設置している。

土のうづくりに汗を流す児童ら=同

 この日は両河川が合流する同市黒田に、工事関係者や小学生ら約70人が集まり、最初に砂利や土を袋に入れて約200個の土のうを作った。続いて、樋門から留い川に入ってすぐの地点の6か所に、水の流れと垂直に土のうを並べて簡易魚道を設置した。

 同事務所などによると、数日後には周囲の田に水が入り、留い川の水量も増すそうで、一昨年、昨年は遡上してくるナマズが数多く見られたという。作業に参加した小学2年生の男児は「作業は楽しかった。ナマズが来たらまた見てみたい」と期待を込めて話していた。

樋門の名張川側に石を組んで設置した簡易魚道=同
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