三重県名張市の歴史などを影絵劇で紹介している伊賀まちかど博物館「はなびし庵」(同市中町)館長の角田勝さん(80)と久子さん(74)夫妻は、新作「神様になったお殿様 名張藤堂家初代高吉公物語」を完成させた。3月15日にお披露目式があり、集まった地域住民らが劇を楽しんだ。
江戸時代から続く「すみた酒店」を営む2人は、築約180年の家屋を活用しようと2004年に影絵劇を開始。これまでに「春が来た」「夕焼け小焼け」など季節の童謡を題材とする他、「乱歩誕生」「宇奈根宇流冨志禰奇談」といった地元の歴史を紹介する作品も発表してきた。新作は、昨秋から制作を開始した。
物語は、江戸時代初期の武将、藤堂高吉(1579-1670)の生涯が題材。高吉は丹羽長秀の三男として生まれ、豊臣秀長、次いで藤堂高虎の養子となった。
高虎の実子・高次の誕生で後継者の座が失われた話や、高次の命により名張に移り、家臣や領民たちに慕われながらまちづくりを進めたエピソードなどを劇で紹介している。名張藤堂家邸跡や高吉をまつる寿栄神社にも触れた。
劇は角田さんが資料を集め、久子さんが切り絵を制作。脚本は郷土史家の中相作さん(70)、ナレーションは桜丘高校放送部2年生の清水優生さん(17)と吉岡夏野さん(17)が担当し、効果音などは放送部員たちが協力して制作した。
清水さんは「台本を読んだ時に初めて『こんなことがあったんだ』思った」、吉岡さんは「劇で名張の歴史をもっと知ってもらえたら」と話していた。角田さん夫妻は「歴史影絵劇の制作は今回で最後になる。集大成をぜひ見に来て」と呼び掛けている。
上演は5人以上で要予約。席料は1人500円。
申し込み、問い合わせははなびし庵(0595・63・0032)まで。
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