「伊賀地域には多数の中世の城があるが、これからも中世城跡や伊賀焼の始まりなど、広く郷土の歴史について調べていきたい」。三重県伊賀市川合の藤井尚登さん(70)は、伊賀地域の中世の城跡調査や地名を調べる2つの市民団体に所属し、時間があれば歴史関係の本を読んだり、歴史博物館や美術館に足を運んだりする。希望があれば現地案内や説明会、講演会を開くなど精力的に活動している。
大学を卒業後、旧阿山町教育委員会では10年近く中世城館跡や古墳、古伊賀の窯跡などの発掘調査に携わった。定年後は伊賀焼伝統産業会館(同市丸柱)で地場産業である伊賀焼の啓発や推進に関わった。これらの仕事を通じて地元の歴史への関心が増していった。
伊賀地域に残る戦国時代の未発見の城跡を探し測量記録する「伊賀中世城館調査会」では、10人ほどの会員とともに、12月から4月にかけ月1回のペースで活動している。地名の由来や歴史、民俗などを書物で調べたり現地調査をしたりする「伊賀の國地名研究会」では、地名の由来などにまつわる記事を新聞に投稿し、毎月開かれる見学会や年1回の研究発表会に参加して研修・研鑽に努めている。
藤井さんは「郷土の歴史を学ぶことは、郷土を大切に思う心を育てることにつながる。これからも続けたいし、これまでの経験や学んだことを若い人たちにも伝えていきたい」と思いを語った。
2024年1月27日付860号15面から
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