活動開始から20年が経った三重県名張市東町の高齢者サロン「よってだ〜こ2号店」。コロナ禍の休止期間を乗り越え、地区のお年寄りの孤立を防ぐ役割を担っている。
名張地区では2003年から、高齢者らの地域活動の拠点づくりのため、空き店舗や空き家を活用したサロンが次々に誕生。「立ち寄ってください」の方言から名付けており、ピーク時は10号店まであった。
2号店は、初瀬街道沿いで半世紀近く菓子店を営んできた田畑としゑさん(92)が、旧店舗のスペースを提供して発足。新型コロナウイルス感染症拡大前までは毎日開放し、地域のお年寄りたちの憩いの場として親しまれてきた。
ところが、20年春からのコロナ禍で、感染への不安から高齢者たちの交流がばったりと途絶えた。「よってだぁ〜こ②」の文字が書かれた入口も、シャッターを下ろしたままの日が約2年半続いた。
「また開けてくれないか」。そんな声がサロンのメンバーから田畑さんのもとに届き、22年11月に活動を再開。田畑さんは「初めは感染しないか恐る恐るだったが、開いてみたら何ともなかった」と振り返る。
身近な話の場
その後は月に1回の食事会と、週1回の交流会が復活。現在は、近くに住む80、90代の十数人が訪れている。食事会では注文した弁当を一緒に味わい、交流会では地元話に花を咲かせながらトランプやオセロなどのゲームを楽しみ、笑顔があふれる。
2年ほど前から、市内の新興住宅地にあるデイサービスにも通っているという田畑さんは「デイサービスに集まる人は遠くから来た人が多く、身近な話はできない。近所の人たちが集まる場は、そこでしかできない昔話もできるのでやっぱり楽しい」と話した。
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