【飛竜の訓練をする深尾さん=伊賀市で】

 初夢に見ると縁起が良いとされる一つがタカ。三重県伊賀市上野車坂町の公務員、深尾竜也さん(52)は、タカの「透き通ったハンターの目を持ち、気高いたたずまいからあふれる孤高さ」にほれた一人。シーズンになると“相棒”とともに狩りを楽しんでいる。

愛竜

 幼いころから鳥好きの父親の影響を受けて育ち、タカとの出会いも、父が保護してきたことがきっかけだった。20年前、車がそばを通る中でタカを飛ばしている映像をテレビで見て衝撃を受けた。それまで「鷹匠」という存在に漠然と憧れてはいたが、町中で飼うのは無理だと思っていたといい、すぐにインターネットで調べ、ハリスホークの雄を購入。自身の名前から1文字取り、「晃竜」と名付けた。

徐々に飛距離伸ばす

 その後、オオタカの舞竜(雌)、ハリスホークの愛竜(雌)、オオタカの飛竜(雄)を飼育。タカは雌の方が雄より大きく、翼開長は約1メートル、水平時は毎時約80キロ、急降下は約130キロで獲物を狙うという。訓練も、人を怖がらないところから始め、徐々に飛距離を伸ばしていく。

20年近く連れ添い昨年10月に死んだ舞竜(伊賀上野ケーブルテレビ提供)

 タカ狩りには免許は不要だが、銃猟のための狩猟免許を持つ深尾さんは、猟期(11月15日から翌年2月15日)には県内を始め、奈良、滋賀などの近くの狩場に出かけ、タカ狩りを楽しむ。中でも20年近く訓練してきた舞竜は長年の頼もしい相棒で、数々の狩りをともにしてきたが、「献身の介護むなしく」昨年10月、老衰で死んでしまったという。

 現在、愛竜(18才)と飛竜(8才)の2羽を飼う深尾さんが訓練に力を入れているのが、若い飛竜だ。ほぼ毎日、早朝訓練に連れて行き、その後に出勤するのが日課となっている。強風や雪の日は、その状況下でしかできない貴重な体験になるので、特に重要だという。

いつかはハヤブサも

 今の目標は、猟期が終わるまでに飛竜が1羽でも獲物を獲ることだといい、深尾さんは「歴史もあるタカ狩りは奥深い。美しく獲物を狩る姿と、何者にもこびない孤高さが何とも言えない魅力。いつかハヤブサも訓練してみたい」と話した。

2024年1月13日付859号2、3面から

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