約28年にわたって「無医地区」となっている三重県津市美杉町太郎生で、桑名市の医療法人「尚徳会」(与那覇尚理事長)のヨナハ丘の上病院による巡回診療が6月30日から始まった。総合診療科として医師や看護師らが原則金・土曜に、旧太郎生小前にある市美杉健康相談所を来訪して診察や投薬などを実施していく。
厚生労働省によると、おおむね半径4キロの区域内に50人以上が居住し、医療機関が無く、また容易に医療機関を利用できない地域を「無医地区」と定義づけている。327世帯649人(5月末時点)が暮らす同地区には、1995年まで民間の太郎生診療所があったが、現在は最も近い市内の医療機関まで10キロ以上離れている。
太郎生地区自治会連合会の中林則孝会長は「既にかかりつけ医があっても、車で遠方まで通院しにくい住民は多い。巡回診療を通して地元で診療やアドバイスを受けられるようになり、健康と福祉が大きく向上する。地区住民一同心から感謝の気持ち」と話した。
同法人と津市が連携協定を結び、6月30日には記念式典が開かれた。同法人の佐藤芳邦副理事長は「この地域のニーズに応じた診療サービスを提供するために、今後地域の皆さまと緊密に連携していきたい。移動の負担を減らし、通院の利便性を高めることで健康管理がより容易になることを目指している」とあいさつした。
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