【交通事故で次男を亡くした体験を生徒たちに語る垣内さん=名張市東町で】

 三重県名張市東町の県立名張高校で6月21日、県警とみえ犯罪被害者総合支援センター共催の「命の大切さを学ぶ教室」が開かれた。交通事故で次男を亡くした垣内奈穂子さん(61)=四日市市在住=が講演し、参加した1年生約190人や教職員らが交通事故防止や命の大切さについて考えを深めた。

 垣内さんは、次男・悠佑さん(当時6歳で小学1年生)を2000年8月、四日市市内の三差路で大型トラックに巻き込まれた交通事故で亡くした。事件や事故の犠牲者の等身大パネルと履いていた靴、遺族の手記などを展示し命の重さを伝える「生命のメッセージ展in三重」の実行委員会代表を務めている。

 同高体育館で開かれた講演で、垣内さんは「こんなことが起こるはずがないと思っていた」と、理不尽に息子を奪われた当時の感情を振り返った。持参した悠佑さんのパネルや、生前のエピソードなども紹介。交通事故が長男ら家族に及ぼした影響についても触れ、「奪われたのは悠佑の人生だけではない。ここまで狂わされた人生を、加害者はどこまで分かっているか」と語った。

 垣内さんは生徒らに「交通事故は防げる、なくせる、それを知っていて」「どうか被害者にも加害者にもならない人生を送って」と呼び掛けた。生徒らは垣内さんの言葉に、真剣な表情で聞き入っていた。

 県警によると、県内で昨年1年間に発生した交通事故の死者数は60人(前年比2人減)。

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