【買い物を終え、スーパー駐車場に待機させた公用車に乗り込む岡本市長=伊賀市ゆめが丘で、2023年3月9日午後5時54分撮影】

経路にないスーパー立ち寄り帰宅 昨年130回か

 三重県伊賀市の岡本栄市長(71)が、公務を終えて市役所からの帰宅途中、職員運転の公用車で経路にないスーパーなどに立ち寄り、夕食用のおかず購入など“私的利用”が疑われる行為を繰り返していることが市民からの指摘でわかった。市の自動車管理規定では原則、「公務以外は使用できない」となっているが、岡本市長は「公務遂行の上で必要な生活保障であり、最小限の権利。問題ない」という考えだ。

 送迎用で主に使用している公用車はトヨタのハイブリッド車「プリウス」で、同市四十九町の市役所車庫から市長の自宅までは往復で2・8キロの距離。市役所から市長がよく利用する同市ゆめが丘のスーパーまでは2・5キロ、公用車が自宅を経由し車庫に戻るまでだと2・5倍超の7・1キロになる。

運転日報への記載一切なし

 岡本市長による公用車の“私的利用”は多くの市民が目撃している。YOUには昨年1月以降、「スーパーで市長をよく見かけるが、自身の買い物に公用車を使うのはおかしい。私的利用だ」などの指摘が複数寄せられていた。

 昨年8月26日には実際に岡本市長が自宅に帰るまでを確認した。午後6時20分ごろ、市長が乗った公用車が市役所を出発し、自宅と反対方向に向かい走行。スーパーでパック入りの卵や総菜を購入して帰宅し、公用車が車庫に戻ったのは出発から約30分後だった。

 情報公開請求で入手した昨年1年間の運転日報などの資料によると、用途や目的の欄に「市長送り」と記載があった日のうち、4分の3に当たる計約130回の走行距離が7キロ以上だった。これに対し、同じ経路で朝の「市長迎え」の場合は走行距離が3キロか4キロが多かった。

 運転日報には帰宅途中に立ち寄った店舗名や経由の記載は一切無く、市役所‐自宅間を往復しただけの記録になっている。秘書広報課にこの点を指摘した上で質問すると、市長が帰宅時に夕食用の買い物などで寄り道した頻度は走行距離が7キロ以上だった約130回と「概ね同じだと思う」と認めた。

「激務 自炊の時間ない」

 市長による公用車を使った夕食の買い出しは、公用車の不適切利用に当たるのか。人事課は「職員が勤務時間中に私的な買い物などで公用車を使用した場合、不適切な事務処理または勤務外の行為に当たる可能性があり、処分になりうる。特別職は処分の対象に含まれていない」と答えた。

 岡本市長は「遊びに行くとか、飲みに行くとか、日常生活に不可欠なこと以外にやっているなら、いかがなものかと思う。私には自炊する時間がない。市長の激務はどれほどか分かるだろうか。公務を続けていくには高齢独居の私にとって必要不可欠。改めるつもりはない。指摘した市民には考え直してもらいたい」と話した。

2023年6月10日付845号22面から

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