三重県伊賀市とIT企業のFIXER(東京都港区)は5月9日、対話型AI(人工知能)の「ChatGPT(チャットGPT)」を活用した行政サービスの実証実験で連携協定を結んだ。市配布の資料によると、同社が開発したチャットGPTに連動する市専用システムを通じて情報を取得することで、安全に市独自の回答ができるとしている。
チャットGPTの活用は住民サービスの向上と職員の負担軽減が目的。クラウド関連事業を手掛ける同社から無償で実証実験の申し出があった。具体的な活用例は、職員間での問い合わせ対応や議事録、事務文書の作成で、5月は担当部署のデジタル自治推進局のみで実施する。
夏以降は住民からの問い合わせ回答支援サービスとして全庁で実証実験を始める予定で、窓口での対面や電子メールなどによる市民からの相談に対し、チャットGPTが文書化した回答内容を参考に職員が対応。また、職員が市民相談の対応後に、チャットGPTによる回答内容と比較、検証する実務を想定しているという。2024年1月以降は実証実験での安全性や有効性について検証する。
連携協定書への署名後、岡本栄市長は「行政活用の是非でいろいろな発言があり、確実に正しい情報が届けられるか、情報漏えいがないかといったリスクは承知しているが、最初から可能性を閉ざすのではなく、リスクを念頭に実証実験を経て、市民に安心して使ってもらえる環境を実現したいと考えている」と話した。
連携協定は同年3月末まで。結果を見て継続するか判断する。同社の松岡清一社長は「自治体が提供する市民サービスに間違いがあってはならず、新しい技術を活用して頂くのはハードルが高いが、実証実験の機会が得られ大変うれしい」と話した。
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