三重県伊賀市菖蒲池の森西浩一さん(70)が、綿密な設計を基に木材などを加工し、軽トラックに積載できる小屋を組み上げた。完成まで約3か月を要した“自作キャンピングカー”は大人2人が寝たりくつろいだりできる仕様になっていて、「やってみたらできたのは自分でも驚き。まだ行ったことのない土地へ妻と一緒に出掛けたい」と笑顔がこぼれる。
若いころからドライブを楽しんで日本各地へ出掛け、「いずれはキャンピングカーで全国を旅したい」と思い描いていた。長らく金属加工会社に勤務してきたが、木材加工は「中学の技術の授業以来」で、自信は無かったという。昨年、妻てる子さん(64)に頼まれて木の棚を作ってみたところ、「思いの他うまくできたので、作ってみたいスイッチが入った」そうだ。
まずは道路交通法を参照し、軽トラックに積載可能なサイズを確認。動画サイトなどで作り方を調べ、材料となる木材の寸法や種類、必要本数を一覧表にまとめ、全体、床面、両側面、後面に分けて図面を起こした。家にあった工具以外に、のこぎりやかんななども購入し、10月ごろから時間を見つけて少しずつ作り上げていった。
断熱材入り
木材は米松や杉を主に使い、四季を問わず快適に過ごせるよう、天井と壁に断熱材を入れた。角はアルミ板でしっかりと養生。両側の窓はアクリル板、いすやベッドになる座面は古いこたつ机の天板を半分にカットして〝再生〟した。
地域柄、車はトラックとして使うケースが圧倒的に多いが、積み下ろしはチェーンブロック(吊り金具)を使えば1人でできるという。既にてる子さんと、愛犬のミニチュアダックス「クリム」(3才)とともに大阪や岐阜などへ出掛けたそうで、「まだ訪れたことがない栃木、茨城、山口へ行ってみよう」と計画を練っている森西さんは「ここで景色を眺めながら飲むコーヒーは最高やな」と表情をほころばせた。
2023年4月8日付841号3面から