三重県名張市は2月21日、2023年度当初予算案を発表した。一般会計は総額292億4200万円で、前年度の肉付け予算(6月補正)後と比べると8236万円(0・3%)の微増となった。28日開会の市議会3月定例会に提出する。
市によると、一般会計の予算規模は過去最大。北川裕之市長は記者会見で「名張のブランド力を上げていくシティプロモーションや、観光産業のベースを作っていく仕組みづくりを着実に実行できる予算を確保できたと思っている」と語った。
歳入は、市税全体が法人市民税や固定資産税などの増加を見込み100億4438万円(前年度6月補正比1・6%増)。歳入全体の2割強を占める地方交付税は、60億3000万円(同1・8%増)を計上した。
歳出は、人件費が退職予定者減などで49億3682万円(同10・6%減)を見込む。投資的経費では、公立幼保統合で24年度に開園予定の認定こども園整備のため移管先法人に交付する補助金2億2290万円や、同年度から伊賀市と運用を開始する共同消防指令センターの整備事業負担金2億7775万円などを計上した。
市財政経営室によると、前年度当初比での物価高騰による影響額は約5600万円で、内訳は光熱水費が約5300万円、燃料費が約300万円。一方、新型コロナウイルス関連の経費は約2億円減ったという。
市の貯金にあたる財政調整基金の残高は、23年度末で約15億円を見込み、市民一人当たり(23年1月1日現在の住民基本台帳人口7万6177人)は約2万円。借金にあたる市債の残高は23年度末見込みで約321億円。市民一人当たりは約42万円になる。
主な新規、拡充事業は次の通り。
▼大阪・関西万博経済循環創出事業(1400万円) 市や商工団体などでつくる「(仮称)名張市産業活性化推進協議会」を設立し、プロモーションやマーケティング、商品開発などに取り組む
▼シティプロモーション推進事業(527万円) 市のブランドイメージを生み出すため、市民参画ワークショップやロゴデザイン、サイト構築などを行う
▼中学校給食施設整備準備事業(1271万円) 中学校給食実施に向けた民間活力導入可能性調査などの費用
▼市制施行70周年記念式典事業(395万円) 24年3月の記念式典に関する費用
▼有機農業産地づくり推進事業(344万円) アンケート調査や講習会などの費用
▼デジタル改革推進事業(580万円) LINEと連携した行政サービスやAIを活用した議事録作成などの費用
▼中央公園電気設備改修事業(3000万円) 公園内のケーブル更新工事費
▼庁舎設備改修事業(1億9150万円) 市庁舎の自家発電設備の更新や防火シャッターの改修工事など