【ドローンが配送した商品を受け取るボランティアのメンバーたち=伊賀市猿野で】

9キロ先スーパーから阿波地区へ

 三重県は無人航空機(ドローン)を活用して商品を届ける「買い物代行」の実証実験を、伊賀市の大山田地域で行った。昨年12月に施行された改正航空法により、住宅地などで目視外飛行が可能になったことから、県は新たな物流モデルとして常時運用を目指す。

上空を飛行するドローン

 高齢化や過疎化が進む地域における「買い物弱者」の課題解消につなげようと実施。中山間地域である阿波地区には、近くにスーパーやコンビニエンスストアがなく、出張販売サービスも担い手不足のため、実用化に期待する声が上がっている。

 1月13日にあった実験では、約9キロ離れたスーパーと阿波地区市民センター(同市猿野)前の広場までを結ぶルートを、ドローンが遠隔操作で飛行した。参加した地元のNPO法人代表・平田章さん(73)が、スマートフォンの専用のアプリで重さ約3キロの「菓子セット」をスーパーに注文すると、箱詰めにされたクッキーやせんべいを載せたドローンが、スーパー近くの公園から約20分で広場に到着。住民たちは箱を開けて、中身のせんべいなどが割れていないことを確認した。平田さんは「完璧な状態で届いて、期待以上だった。生鮮食品も頼んでみたい」と話していた。

 この日、同市民センターであった出発式には、県が委託した事業者や地元住民ら約60人が参加し、実験を見守った。配送に用いたのは、日本初の物流専用量産型ドローン「Air Truck」で、可搬重量5キロ、最大20キロの距離が飛行可能という。

箱詰めの菓子セットが積み込まれたドローン

2023年1月14日付835号6面から

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