【かみしも姿で矢を射る「弓取人」たち=名張市滝之原で】

 三重県名張市滝之原の八幡神社で1月8日、700年以上の歴史があるとされる「若子祭」(県選択無形民俗文化財)があった。幼子らの成長を願う伝統行事で、かみしも姿の住民が片肌を脱ぎ、広がる青空に向かって次々に矢を放った。

 若子とは、1年間に地区内で生まれた男児と婿入り養子のこと。今年は若子が2年ぶりにいなかったが、参加者たちは地区の平穏無事を祈った。

 地区では昨年、文化庁の補助金を活用して祭りで使う弓矢や袴などを新調したといい、この日がお披露目となった。社殿での神事の後、「弓取人」に選ばれた住民6人が神社前の道路から、田んぼを隔てた約70メートル先の山の斜面に置かれた約1・5メートル四方の的に向け、6本ずつ矢を放った。あえて的に当てないのが習わしで、見物人たちは矢の行方を見守った。

 初めて弓取人を務めた土岐琉星さん(21)は「うまくできるか分からなかったが、思ったよりも飛ばせた。歴史ある行事に参加できてよかった」と話した。

 八幡神社は今年、20年に1度の式年造営の年で、滝原恒利区長(69)は「造営に合わせて弓矢や袴などを新調でき、非常にうれしい。今年は若子がいなかったが、700年以上の伝統行事が末永く続くようにしていきたい」と話した。

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