【出迎える山本さん夫妻=伊賀市種生で】

交流深める

 退職を機に、長く暮らした大阪市内から、自然豊かな三重県伊賀市種生へ3年半前に転居した山本富士夫さん(63)と妻の智示さん(49)が今年6月、古民家の自宅を改修した民泊「伊賀里山の宿 芙蓉庵」を開業した。野菜作りやボランティアなどの傍ら、この宿に集う地域の人たちや旧知の友人らと交流を深めている。

古民家を改修した民泊の外観=同

 山本さんの定年後に「自然の中で暮らしたい」と考えていた2人は、まずは奈良県内で古民家を探したが、気に入った物件が見つからなかった。その後に現在地を紹介され、「隣の三重県も探してみようか」と足を延ばす。そしてこの家の前に立ち、中を見る前に顔を見合わせ「ここや!」と決めた。

 集落には70、80代の高齢者が多く、2人は移住後に地域の人たちから「この辺りで子どもたちの声を久しく聞いていないね」という声を聞くこともあった。念願だった里山で野菜作りやボランティア活動などに精を出しつつ、化学肥料や農薬を使わない農業体験会を催したり、畑で採れた珍しい野菜の料理講習会を開いたりし、遠近問わず親子が集まれる場を提供してきた。

地元で音楽を

 昨年、人づてに京都から大学生の団体が泊まりに来たこともあり、今年6月には近くの種生神社でジャズピアノの弾き語りコンサートを、7月には博要の丘で音大出身歌手とピアノの演奏会を開き、内外から多くの参加者があったそうだ。

 今後、秋やクリスマスなど年4回ほどコンサートを開く予定。施設内では弾き語りのライブなどができ、今後は飲食もできるようにしたいという。山本さんは「人が集まり、笑顔あふれる地域であり続けるために活動し、地域に貢献していきたい」と話した。

 問い合わせは山本さん(080・3862・6771)まで。

2022年7月30日付824号11面から

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