【店舗の外観】

 三重県名張市の名張商工会議所が創立60周年を迎えた2018年に創設した「名張商工会議所長寿企業表彰制度」。表彰された43社をより多くの人に知ってもらおうと、追加取材とデータをデジタル化して一つのホームページにまとめたサイトが開設された。表彰は、会員として10年以上経過した企業で、市内に本店、本社を有し、100年以上存続し経営する企業が対象。YOUでも毎週1社ずつ、創業年代順に企業を紹介していく。名張の長寿企業サイト

創業1895 明治28年

名張市つつじが丘北3-1
電話 0595-68-1105
代表者 今矢 弘一

■ 取扱商品・サービス

 現在は「ミエライス」のお米を取り扱っております。

■ 事業の沿革

 明治28年(1895年)に初代、今矢熊之助が、土地を貸している小作人さんから小作料として収められたお米を販売したのが当店の創業です。「今矢」という苗字は昔「今屋」という漢字でしたが、正徳5年(1715年)に「今谷」という字を経て、現在の漢字になったそうです。先祖代々名張に土地を持っており、小作人さん達に貸して暮らしていたとのことです。
 それも2代目の俊郎の代で、昭和22年(1947年)GHQによる農地改革が行われ、土地を小作人さん達に配分する形で少なくなっていったそうです。その後もお付き合いのある小作人さんから収めて頂いたお米だけではなく、自身でお米を仕入れて販売していたのもこの頃です。
 その後昭和51年(1976年)に、当代の弘一が10年間務めた会社を辞めて、家業を引き継ぎました。滋賀・岐阜・新潟・北海道など日本各地を周り、上質なお米を取り寄せて販売するなど、お米に対するこだわりも強く、また当時は珍しかったコンピュータをいち早く導入したり、先代から続くガス取扱業に力を入れたりと、時代の流れに非常に敏感に対応して参りました。
 しかし平成5年(1993年)のお米の大不作を皮切りに、それまで許可制度だった食糧法が改正され、お米に関する流通規制が大幅に緩和されると、量販店・ホームセンター・生協・ドラッグストア等、様々な業者が参入してきました。様々な地域から取り寄せて販売していた私たちにとって一番脅威だったのは、産地直送が可能な農家直販の通信販売でした。それも永年続いた米殻業のノウハウを活かして乗り越えていましたが、時世の流れには太刀打ちできない状態であります。

店内にある機械

店内にある計量器

■ 経営理念・特色

 自給自足が大切で、食べ物に感謝することが必要だと考えております。

■ 米は奥が深い

 Q 長年のお米の販売経験から「おいしい米」にはどのような要素が必要か、ずばり教えてください。
 A ずばり「土」です。たとえ隣り合う田んぼで同じ品種の米を栽培していても、土壌が違うと味が全然違ってきます。また、新米の時期だけではなく、年を越して米が熟すことで、それぞれの品種ごとにおいしさが増す時期があります。炊く時の水も大切で、こだわればこだわるほど、おいしく頂けます。長年研究してきましたが、お米は本当に奥が深いものだと思います。

 Q これからの商いについて思いをお聞かせください。
 A スーパーや量販店など米の販売にさまざまな業者が参入するようになって以来、米穀業という形では事業の縮小が余儀なくされています。現在は無農薬で野菜を作りながら、ごく限られたお客さまを相手にお米の販売をしています。つつじが丘北3番町の店舗は今後、オーガニック食材や有機野菜を扱う宅配サービスの業者さんと連携しながら、活用していきたいと思っています。

店内に置かれた招き猫

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