【申し入れ書を近森議長に手渡す岡本市長=伊賀市上野丸之内で】

 三重県伊賀市の岡本栄市長は7月1日、一般会計補正予算案に対する修正案が6月定例会最終日の本会議に提出、可決したことを受け、「委員会の討論では反対意見もなく、全会一致で可決すべきものとした。いきなり本会議での削除は極めて遺憾」だとし、提案時には市側に意見を述べる機会を設けることなどを近森正利議長に申し入れた。近森議長は「議会運営委員会で議論したい」と答えた。

 補正予算から削除されたのは、市への寄贈作品をスマートフォンやパソコンで閲覧できるようにする仮想美術館の構築委託料など3049万円。市は国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を全額活用し、構築から5年間にかかる経費は総額で約5700万円と説明していた。

 申し入れ書を受け取った近森議長は「討論で反対意見がなかったことに市長は問題を提起している。そこは議会内で話し合う」と話す一方、「委員会(の質疑)ではいろんなやり取りがあった。その中で議員それぞれが判断した」と答えた。岡本市長は今回の一部予算の削除を受け、6月27日の定例会閉会後にも記者会見を開き、議会の判断を非難していた。

 同市の予算審議を巡っては、17年の6月定例会で市が庁舎改修の調査経費について「法的に問題ない」と別予算を流用し、議決前に契約、予算を執行したことが判明。当時の議長が抗議文を提出し、岡本市長が議員全員協議会で謝罪したことがある。

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