約3年前に火災で焼失した、三重県名張市箕曲中村の福成就寺本堂の再建が進み、上棟式があった。建物は年内にも完成する予定だ。
市史によると、同寺は平安時代中期からあった壬生寺の後身と推定。天正伊賀の乱で焼失後に再建され、江戸時代には名張四大寺の一つに数えられたと伝わる。
2019年5月の火災では、木造平屋瓦ぶきの本堂や庫裏など計約350平方メートルが全焼し、本尊の薬師如来も焼失。十一面観音や如意輪観音など仏像5体、国の重要文化財に指定されている「黒漆厨子」などが焼失を免れた。
再建は、火災後間もなく檀家で組織した再建委員会が中心になって進めてきた。檀家や一般参拝者からの寄進も含め、必要な費用を確保できる見通しになったという。
新本堂は昨年末に着工。焼失前より一回り大きく、木造平屋瓦ぶき、建築面積は約155平方メートルとなる。大本山の室生寺(宇陀市)から新たな本尊として薬師如来を迎える予定だという。
5月20日にあった上棟式には、檀家や建設関係者ら約20人が参列。昨夏に亡くなった岩田昌信前住職の跡を継いだ長女の妙信住職(57)が法要を営み、工事の安全などを祈願した。妙信住職は「多くの方の力でここまで再建が進み、感謝したい。父にも見せてあげたかった。寺をしっかり守っていきたい」と話していた。
2022年6月11日付821号6面から
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