伊賀・豊國工業が寄贈し設置
三重県伊賀市小田町のスチール家具メーカー「豊國工業」は、名張市百合が丘東6の県立名張青峰高校(赤塚久生校長)の生徒と新たな靴箱を共同開発し、完成品を同高に寄贈した。4月20日に贈呈式があった。
同高は名張桔梗丘高と名張西高が統合し、2016年春に開校。同社の井上明彦社長は名張西高の卒業生で、昨年10月に訪問した際、生徒たちの靴が靴箱からはみ出ている様子を目にした。
古い靴箱は木製で、名張西高の開校時から35年間使われていた。少子化に伴う生徒数の減少で使用していない場所がある一方、統合後から採用している上履き(合成樹脂製)が以前のものより大きいため、うまく入らないあり様だった。
井上社長は同高に靴箱の共同開発を提案。使いやすいものに仕上げるため、11月から生徒会と話し合いを重ね、靴の収納スペースを広げる以外にもアイデアを募った。その中で、「傘がなくなるので何とかしたい」という要望が多く寄せられたという。
傘立ては靴箱の近くに設置されていたが、何本もの傘を集める形で、紛失が絶えなかった。同社は「靴が入れやすく、傘が個別に管理できる靴箱」の開発を決め、デザインも生徒らの意見を反映。5か月の製作期間に複数の試作を重ね、完成させた。
新靴箱は高さ約2・2メートル、幅が約70センチで、1台で10人分の靴(2足)と傘(1本)が収納できる。学年ごとに色分けし、上部はほこりがたまらないよう青い三角屋根を設けた。同社はこれを計84台寄贈し、設置した。
前生徒会長で3年の大﨑颯人君(17)は「他の学校にないオリジナルの靴箱で、とても使いやすい。自分たちの考えが実際に形になってうれしい」と大満足。同高では、新靴箱が並ぶ生徒玄関を「青春エントランス」と命名し、同社に感謝した。
同社は、共同開発した靴箱を10月にも商品化する予定だという。