園児数減少による公立幼稚園・保育所の統廃合で、今年度で閉園する三重県名張市立桔梗南幼稚園(桔梗が丘5)で3月17日、閉園式があり、子どもたちが慣れ親しんだ園舎に別れを告げた。園児計2479人を送り出した同園は、43年の歴史に幕を閉じた。
同園は1979年に開園。住宅地開発による同市の幼児教育需要の高まりに対応してきたが、近年は少子化の他、幼児教育・保育の無償化の影響で、保護者が私立を選択するハードルが下がったことも一因となり、園児数は定員140人に対し今年度は21人まで減少。市は昨年8月に同園と名張幼稚園(丸之内)、大屋戸保育所(大屋戸)を統廃合し民営の認定こども園を24年度から開園する計画を打ち出し、12月議会で桔梗南幼稚園の廃止が決まった。
桔梗南幼稚園では今年度、5歳児16人が卒業し、閉園により4歳児5人が名張幼稚園に転園する。跡地は改修後、23年度からは市立桔梗が丘南小の放課後児童クラブの保育室として使用する予定。
式には園児と保護者ら約60人が出席。式辞で亀井利克市長は園児たちに「思い出がいっぱい詰まった園とお別れです。ごめんなさい。お友だちをいつまでも大切に」、保護者には「人口、子どもの数が徐々に減る中、決断した。どうかご理解頂きたい」と語った。
園の歴史を振り返るスライド上映や園歌斉唱後、園庭でバルーンリリースを実施。園児らが「桔梗南幼稚園ありがとう、さようなら」の掛け声とともに、赤や青、黄色、白い鳥型などの風船を空へ放った。
その後、保護者会役員らが教員に感謝の言葉とともに花束や記念品を贈呈。受け取った松嶋順子園長は「皆さんに、どんな時も前を向くことを教えてもらった。子どもたちを真ん中に、成長を保護者の方と喜び合えたことが私たちにとっても宝です」と感謝の言葉を述べた。
この日、次女が卒園した保護者会長の森野茂樹さん(43)は取材に、「子どもたちの笑顔が輝く素敵な幼稚園だった。閉園が決まるのは本当に急で、寂しい気持ちもある。子どもたちには園での思い出を糧に、成長していってほしい」と話していた。