三重県名張市西南部に位置する赤目地区の赤目まちづくり委員会が、資源豊富な竹を使った町おこしを始めた。今年4月に発足した「赤目竹あかりSDGsプロジェクト」で、30代から70代の約30人が「環境保全」「体験学習プログラム」「地域振興」のテーマに分かれ、活動に取り組んでいる。
同地区は昔から、手すき和紙や、それを使った伊賀日傘の生産が盛んで、原料としていた竹の林も多く存在する。同プロジェクトはそんな竹林の環境整備を始め、体験ワークショップによる地域コミュニティーの形成、イベントなどで地域経済の振興に結び付けていくのが狙い。これは、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の考え方に合致するという。
リーダーは、昨年度まで赤目青年会の代表だった瀧野真治さん(44)。昨年発足した「なばり竹あかりSDGsプロジェクト」の副委員長も務めており、活動を通じて考え方や実践方法を学んできた。昨年の冬、赤目四十八滝で開いたライトアップイベントで「竹あかり」の魅力を実感。こうした取り組みを赤目地区全体の活動に広めたいと考えたという。
「赤目四十八滝を始め、松明調進で知られる極楽寺など、観光や歴史にまつわるスポットが多い赤目地区で、竹をテーマにさまざまな企画やイベントが考えられる。ネタは尽きない」と話す。
今年1月から3月まで、同まちづくり委員会傘下の「あかめ里山文化保全会」による柏原城址の竹やぶの伐採作業に参加。「竹と格闘する毎日だった」と笑う。
地区ごとにワークショップ
同プロジェクトでは、7月には星川、一ノ井など地区ごとに出前ワークショップを開催。参加者は竹の表面にドリルで幾何学模様の穴を開けてオリジナルの竹あかり作りを楽しんだ。また、赤目市民センターを会場に「竹あかり夕涼み会」や「竹風鈴づくり」も実施。柏原地区にある作業場を活用し、伐採した竹を保管して乾燥、油抜き、切断する加工場も設けた。
「竹林での伐採方法や油抜きのやり方など、さまざまなデータを残してマニュアル化し、次の世代に残していきたい」と瀧野さん。
同委員会の亀本和丈会長は「プロジェクトを通して自然環境が整備され、イベントや竹細工などの制作、販売によって収益を確保できれば、持続可能な活動になる。コロナ禍の暗いニュースが多い中、赤目地区の未来をともす活動になっている。住民挙げて盛り上げていきたい」と話している。
2021年9月25日付804号21から