民法改正で来年4月から成人年齢が引き下げられるのを機に、成人式の対象を18歳に変更する方針の三重県伊賀市に対し、市民団体「伊賀市の未来を考える勉強会」は10月13日、従来通りの20歳で実施するよう求める要望書と7525筆分の署名簿を岡本栄市長に提出した。同市役所で意見交換の場が約40分間設けられたが、主張は平行線のままで終始かみ合わなかった。
要望書の提出には市民団体の代表で会社役員の竹島義徳さん(45)、会員の高校3年と中学3年の女子生徒、保護者の5人が出席した。意見交換では、竹島さんや女子生徒の保護者が「成人式の対象年齢や開催日程は法律による決まりはなく、自治体で判断している。法改正で成人年齢が引き下げられたことは別。子どもたちは20歳で迎える成人式の方が幸せだと言っている。なぜ市民の声を拾い上げてくれないのか」と訴えた。
これに対し、岡本市長は「根拠はまず民法が変わった。さまざまな権利を与えられ、義務を負う。式でお祝いの側面は派生的なこと。大人になったことの告知で行政事務。20歳で式をしたいなら、実行委員会を作ってしたらいい」と従来の考えを崩さなかった。同市議会は市民団体が9月定例会に提出した請願を20対1の賛成多数で採択している。
市民団体によると、提出した署名簿は今年5月末から10月10日までの間に市内で集めた数で、他にも住民自治協議会1団体と自治会17団体、地元の美容組合など5団体の計23団体の賛同書も添付している。意見交換の途中、言葉に詰まって涙した女子高校生は「市長に思いを伝えようとした。途中から同じやり取りの繰り返しに感じた。自分だけじゃなく、皆の気落ちが無駄になるのかと思うと悔しかった」と振り返った。
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