視覚障害者の移動手段にも
三重県内の公道では、昨年8月から2人乗りのタンデム自転車の走行が解禁され、観光への活用や視覚障害者の移動手段などとして期待されている。サイクリングコースとして知られる名張市の青蓮寺湖周囲の道路などでは、今春から実際に利用する人の姿が増えつつある。
タンデム自転車は複数のサドルとペダルを備えた自転車で、前後に人が並んで乗り、同時にペダルをこいで動かす。ハンドル操作は一番前に乗る人が行い、後席であれば目の不自由な人でも楽しめる。東京パラリンピックの自転車競技でも使われる。
今年3月、名張駅西口前の自転車店「サイクルプロショップ rpm」が、青蓮寺湖畔のブドウ狩り案内所の建物内に移転し、それを機にレンタサイクルのメニューにタンデム自転車2台を導入した。
同店によると、青蓮寺湖周囲のコースは適度なアップダウンがあり、交通量も少なく、タンデム自転車を楽しむにも最適な環境だという。同店の利用客で、後席の乗車を体験した森本修司さん(68)は「2人でタイミングを合わせてこぐのが大事」と教えてくれた。
北森靖人店長(47)は「普通の自転車に乗れない人でも、一緒に風を感じて楽しむことができる。多くの人に良さを知ってほしい」と更なる普及に期待する。同店では、親子での利用も目立っているという。
「ルール守って」
一方、普通の自転車より車体が長いため小回りが利かず、乗り始めが不安定とされるなど注意点もある。県警交通企画課は「特徴を理解し、ルールを守って利用してほしい」としている。
2021年8月14日付801号16面から
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