身近な地域を記者が実際に歩いて巡る「てくてく歩記」。今回は伊賀市大山田エリアの西部に位置し、伊賀街道の宿場町だった平田、その北隣で広々とした農地が広がる炊村を中心とした約7・3キロを歩きました。(取材・山岡博輝)
晴天に恵まれた4月下旬のある日、午前9時過ぎに市大山田支所前を出発。たくさんの花が付いた生垣のサツキに季節を感じます。街道筋の入り口には、木々に囲まれ大きな鐘楼のある植木神社が鎮座しています。
古くからの商店や家々が続く伊賀街道を西へ進むと、集会所の前に、同神社の祇園祭で巡行する3基のだんじり(山車)のうち一つの蔵があります。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、残念ながら宵宮や巡行は中止となったそうです。コロナ禍が収束すれば、各地で伝統行事や祭典なども再開されるでしょう。
辻にある丸形ポストに見送られ、大山田小学校付近からは北へ。さえぎる建物も少なく、風が少し冷たく感じます。真っすぐ進んでいくと、前方後円墳の円部分が現存している「寺音寺古墳」が目の前に。穂が青々とした麦畑を抜け、炊村の集落へ入ります。
集落北東の藪の中には、地名の由来になったという「清水(しょうず)淅(こめかし)井戸」という小さな池があり、ヤエザクラと黄色のショウブが池を彩っていました。高台にある2つの池のほとりまで上ってから、来た道を戻り、レンゲの咲く休耕田を眺めながら西へ向かいます。
道端の植え込みに「下炊」の碑があり、その先に1本だけ、満開を少し過ぎたボタンザクラが樹勢を示しています。その先にある厳島神社跡小公園には、藤棚と赤・緑のモミジがひっそりと、しかし鮮やかに存在を主張していました。
今度は畑村方向へ、田んぼの中の真っすぐな道を歩きます。東西南北どちらを向いても直線、という場所は、伊賀地域に少ないのではと感じました。盆地を囲む山は、木々が黄緑と深緑のコントラストを生み出し、まさに「山笑う」風景が広がっていました。
服部川の支流・湯舟ヶ谷川に沿って東へ進み、甲野まで来ると、菜の花畑の黄色がまぶしく光っているよう。カメラで花を接写したり、じゅうたんのように広がる風景を収めたりと、しばし時間を忘れて黄色の世界に浸りました。
最後は県道伊賀青山線を南下し、出発から約2時間半、午前11時半ごろに大山田支所前へ到着。歩数計は8200歩余りでした。
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