日本高校野球連盟と朝日新聞社は5月20日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、8月10日から阪神甲子園球場で開催予定だった「第102回全国高校野球選手権大会」と、代表校を決める都道府県大会の中止を発表した。昨秋の三重県大会で優勝した近畿大学工業高等専門学校(名張市春日丘7)の重阪俊英監督は「医療関係者の皆さんや、大会開催に向けて尽力頂いてきた方々に感謝したい。他のアマチュアスポーツの動向を考えれば致し方ないが、非常に残念」とコメントした。【大会中止を受け取材に応じる近大高専の重阪監督=名張市春日丘7の同高専で】
感染拡大防止の観点から、今年の高校野球は選抜大会を始め、今春の地区予選、県大会、地区大会が全て中止になっていた。高校総体や中学校体育大会など全国規模のスポーツ大会の中止が相次ぐ中、高校野球の動向に注目が集まっていた。
中止となった選抜大会の21世紀枠候補になっていた同高専の部員たちは、3月5日から25日まで自宅待機のため練習できず、翌26日から4月19日までは全体練習をしていたが、それ以降は全体練習を禁止。部員たちは感覚を鈍らせないよう、自主練習に取り組んできた。同27日からはオンラインで遠隔授業が始まっている。
重阪監督は20日午後3時30分ごろ報道陣の取材に応じ、「選抜大会に出られず、夏に甲子園を狙おうと照準を合わせ、3年生が先頭に立ってチームを作ってきた。他の競技の大会が次々中止になり、部員たちは不安な気持ちでいたと思う。しっかり前向いてやっていきたい」と複雑な胸中を語った。
伊賀地域の高校で野球部に在籍する3年の男子生徒の父親は「目標に向けて頑張ってきた姿を見てきたので、本人も私たちも残念な思い。チームの仲間たちに恵まれたことを財産にして、これからの人生に生かしてほしい」と話した。