伊賀有機農産供給センター(伊賀市白樫)の畑で毎年開かれている「収穫感謝祭」のシンボルとして設置された巨大なオブジェは、名張市富貴ケ丘の農業、和田武雄さん(76)の力作だ。今年はアニメ「となりのトトロ」のメインキャラクター・トトロが登場し、子どもたちの人気を集めた。【出来上がったトトロのオブジェを見上げる和田さん=伊賀市白樫で】
和田さんがオブジェを作るようになったのは祭りが始まった約30年前から。東北地方などでは五穀豊穣や厄災退散を祈願した巨大なわら人形を作ることを同センター創立者の松井佳昭さんに教えてもらい、一緒に作ったのが始まり。
以来、「ネコバス」などアニメのキャラクターをモチーフにした作品に加え、ツリーハウスや巨大なブランコや滑り台などの遊具も作り、家族連れの来場者らを楽しませてきた。
今回は竹をツルで編んだ骨組みを、割いたシュロの葉でくくり、わらやササを付け、木で耳を、さん俵で目を作った。生産者仲間などの協力も得、約1週間で高さ約4メートルのトトロが完成。実はトトロを作ったのは今回で4回目だそうで、しっぽ部分が小さな入口になり、子どもたちが胴体の中に入れるよう工夫した。
「自然に感謝し、出会いやつながりを大事にするきっかけになれば」との思いが込められ、全て土に還る材料しか使っていないことにこだわっているそうだ。
かつて縄文式竪穴住居も作ったことがある和田さん。「助け合って生きる縄文人の生き方を今こそ学ぶべき」と、いずれまた、会場で作りたいそうだ。
11月30日の祭り当日、子どもたちの歓声が響く会場で、和田さんは「喜んでもらえるのが何よりのやり甲斐」と目を細めた。
なお、トトロは来年の収穫祭が始まる頃まで自由に見学できるが、ブランコなど遊具を使う場合は事前に連絡が必要だという。
問い合わせは和田さん(0595・63・7385)へ。
2019年12月21日付 762号 2面から