ごみ処理施設「伊賀南部クリーンセンター」(伊賀市奥鹿野)で焼却炉の排ガスに含まれる有害な大気汚染物質5項目(窒素酸化物、塩化水素、一酸化炭素、硫黄酸化物、ばいじん)の濃度データが実際より低い基準内の数値を示すよう改ざんされていた問題で、施設を管理する伊賀南部環境衛生組合議会と名張市議会で9月20日、内部調査の中間報告があった。【頭を下げて謝罪する三機工業、三機化工建設の幹部(後列3人)と(前列右から)亀井名張市長、岡本伊賀市長ら=名張市役所で】
組合事務局は報告で、2009年2月の竣工当初から改ざんがプログラムで設定されていたことや、運転管理業務を委託する三機化工建設(本社・東京都)の事業所長らが発覚を恐れ、手入力で一部データを書き換える隠蔽工作をしていたことなどを明らかにした。メーカーで親会社の三機工業(同)も不正の事実を認めており、謝罪した。両社ともプログラムの存在やデータ書き換えについて「上層部までは知らなかった。責任を感じている」としている。
プログラムについて、三機工業などによると、今年5月に同様の改ざんが明らかになった徳島県鳴門市にある08年竣工の同型ごみ焼却施設の建設を担当した当時の男性責任者が、平均値が一定値以下に表示される「ピークカット制御」を「独断で導入」し、続けて担当し翌年竣工した伊賀南部クリーンセンターにもそのまま導入されたという。男性は12年に三機工業を退職しており、同社の聞き取りに対して「あまり覚えていない」と導入に至った理由など明言を避けているという。
組合の聞き取りによると、運転業務の現場担当者間ではプログラムの存在について、モニター上の数値と実測値のずれから、10年4月ごろには認識していたという。
組合に提出する日報は表計算ソフトを使用しており、本来は数値が自動で入力される仕組み。13年ごろからは、機器の不調などで一部の排ガス濃度(窒素酸化物、塩化水素)の実測値が上昇した際、制御により同じ数値が不自然に連続して記載されるため、プログラムの存在が発覚しないよう、事業所長や副所長ら3人が一定にならない数値に書き換えていたという。
報告を受け、議員からは「不正や隠蔽など生易しいものではない」「市民の税金で契約している。不履行ならお金を返してもらって」などの厳しい声が相次いだ。同組合管理者の亀井利克名張市長は「改善されたで済まされる問題ではない。市民に対する裏切り行為。顧問弁護士とも相談している」、副管理者の岡本栄伊賀市長は「ウイルスを仕込んだスマホを売りつけたようなもの。会社として何をしでかしたのか認識が甘い」と述べた。
三機工業の松本昌彦事業部長は「まずは現場としての対応を優先しているが、社内の調査も進めている。処分を含め対応する」、三機化工建設の吉田善章常務は「違反行為について弁解の余地はない。信頼を回復するため、もう一度チャンスを頂きたい」と述べた。