がん患者支援のNPOが無料配信開始
がん患者を心理的・社会的に支援する「認定NPO法人がんサポートコミュニティー」(東京都港区)が、スマートフォン向けのアプリ「CAN.」の無料配信を始めた。昨秋リリースしたもので、がんに関する最新ニュースの他、複数の団体と連携し、利用者にとって必要な情報を個別に整理して届ける。同法人事務局長の大井賢一さん(48)に仕組みを聞いた。
―アプリには、たとえがんになっても自分らしく生きることが「できる」という意味が込められているそうですね。開発のきっかけは何でしょうか
大井さん 有用な情報を提供するプラットフォームの必要性を感じたことです。インターネットで検索すると、情報は簡単に得られるようになりましたが、膨大な情報の中から必要なものを収集する環境は整備されていません。患者自身が欲しいものにたどり着くには時間がかかったり、たどり着けなかったりすることもあります。そこで、個別に情報を受け取れるシステムを開発しようと考えました。アプリに自分の必要な情報を登録してもらうと、登録データに基づいたがん関連情報が配信されます。
―配信される情報はどのようなものですか
大井さん さまざまな医療関連団体、患者支援団体と連携していますので、そこから情報が届けられます。毎月1日と15日には、がん専門医などからのメッセージも配信しています。
―アプリを使って情報を検索する場合はどうでしょう
大井さん 既に配信された情報や、一覧ページでカテゴリー分けされたさまざまな団体の情報も見られます。がん情報リンク集では、有用なサイトをがんの種類などによって分類していますが、なかには企業サイトへのリンクもあります。
近年、民間企業もがん関連の充実したページを持っているのですが、トップページから入ると、それを探さなくてはなりません。また、信頼性の高い情報を得るために公的機関のウェブサイトを見ても、民間企業のサイトへはリンクしていないことが多いです。このリンク集は、そうした不便を解消し、素早く知りたい情報にアクセスできるようにしました。このように「CAN.」では、既存情報が整理されています。
―アプリの今後についてお聞かせください
大井さん 必要な情報を発信している団体と患者個人がつながるようになるので、声が届きやすくなると思います。医療者の評価だけでなく、患者の主観による評価も重要視されるようになりましたので、そうした面でもアプリは活用されていくのではないでしょうか。今後は、アプリでがんに関連したアンケートを実施し、がん医療の未来に役立てたいと考えています。
―最後に読者へのメッセージをお願いします
大井さん がんになっても、一人で向き合わないで頂きたいです。このアプリも、そのための一つのツールとしてぜひ活用してください。
利用方法
がん患者支援アプリ「CAN.」は、アイフォーンは「アップストア」から、アンドロイドは「グーグルプレイ」から無料でダウンロードできる。登録する場合は、ダウンロード後、アプリ下部の「設定」をタップし必要事項を入力する。