酷暑や台風など、ウォーキングに適さないタイミングもあったため、約半年ぶりとなります。今回は、名張市と山添村にある、隣り合った2つの「鵜山」地区を巡る約5・5キロのコースです。(取材・山岡博輝)【写真1枚目・山添村鵜山の集落を坂の下から望む】

 名張市と奈良県の境には、同じ名称の集落が隣り合う場所が3か所あります。1つは「竜口」(宇陀市は室生龍口)、残る2つは山添村と境を接する「葛尾」、そして今回紹介する「鵜山」です。

 11月12日午前9時すぎ、出発点となる山添村広瀬へ。細長い雲がところどころに見えますが、おおむね秋晴れとなりました。名張川にかかる広瀬橋をスタートし、まずは名張市方面へ向けて県道を上っていきます。

【広瀬の集落を名張川の対岸から望む】

 道が東に向き、日が当たり始めたころ、鵜山の集落が見えてきました。階段状に続く田の上手に家が何軒か見え、葉を落とした渋柿の木や、サトイモやハクサイを植えている畑を見ながら細い道を上っていきます。重厚なつくりの家々の間からは、対岸にある片平の集落が望めました。

 集落をぐるっと巡り、隣り合った八柱神社と真福寺へ。境内には、県の天然記念物に指定されている高さ約10㍍のボダイジュがそびえています。木陰で休憩し、再び県道へ。棚田に続いて茶畑も垣間見えました。

【名張市鵜山の集落外れにある福竜寺。境内に大きなイチョウ】

 出発から約40分、坂を上りきると、県境の看板が目に入ってきました。ここからは名張市の鵜山です。木陰の坂を下っていくと、何やら靴の中でチクッという感触。正体はドングリでした。こちらにも八柱神社があり、近くの福竜寺には黄金色の葉を付けたイチョウの大木がありました。ギンナンを踏みしめながら、本格的な秋の訪れを実感しました。

 常夜灯から小道を上っていき、振り返ると集落が一望でき、遠くには山添村方面の山並みも見えました。来た道に戻り、伊賀市方面への坂を上っていきます。下りになると、穂が開きかけたススキが連なっていました。

 坂を下り切る前に、左手の道へ。ここからゴールまではひたすら下ります。赤い小さなトンボのつがいがいくつも飛び交っているなかを進み、小さな実がたくさんぶら下がった柿の木を過ぎると視界が開け、谷合に続く田んぼと、赤や黄に表情を変えた森の木々が迎えてくれました。

【広瀬へ下っていく道沿いに滝を発見】

 11時のサイレンが遠くで聞こえ、木々の黄・茶と緑のコントラストを楽しみながら下っていき、大きくなった水音に気づいて振り返ると、山から流れ落ちる滝が目に入りました。

 出発から2時間弱、午前11時15分に廣瀬橋のたもとへ帰ってきました。歩数計は8160歩でした。帰り際、対岸から目に入っていた熊野神社境内のイチョウの大木を見に寄りました。いよいよ冬の足音が聞こえてきましたが、もうしばらくは晩秋の景色を楽しめるのではないかと思います。

 

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