【受賞作品の前で賞状を手にする古賀さん=名張市で】
キャンバスに描く夢と未来
「あなたの絵から、壮大な音楽が流れる」―。3月に大阪府豊中市で開かれた公募展「2025・ZERO展」で昨年に続き入選し、「堺市長賞」も受賞した三重県名張市梅が丘北の会社員、古賀千晴さんは、新進気鋭のアーティストだ。
絵が好きで、幼いころから描いていた。高校生の時、美術教員から美術大学への進学を勧められた。しかし、絵で食べていけるとは思えず、地元を離れて就職したが、コロナ禍で帰郷、2年前に再就職した。
昨年、絵が好きだったころを思い出し、アクリル絵の具で最小規格のF0号サイズの絵を描いた。「夢に出てきたちょっと未来の日本の風景」で、仕事が終わってから2時間ほどで仕上げたという。
「試しに公募展に出してみよう」と同じサイズで対となる新作1枚を描き、関西を拠点とする美術団体「ニューアート・ZERO会」が主催する「2024・ZERO展」に2作品を出品。結果、初入選という知らせに驚いて「手が震えた」という。受賞式と懇親会に参加した際、同会の副会長から「ここ数年で一番素晴らしい絵。色使いがとても良い」と絶賛してもらった。
また、受賞式前に描いていた3作目で挑戦したコンクールにも入選。夢の風景を少し明るい色で描いた作品で、立て続けに起こった「まさか」に驚いたそう。更に年末にあった公募展でも入選を果たした。
今回の入選作も、夢見た風景で対となる2作品。「生年月日・出生時間」と「恐らく自分の生が終わる瞬間」をタイトルにした「19××09282057」と「20××××××××××」。元大工の父親に手作りしてもらった大小2つの円形の木製オリジナルキャンバスにアクリル絵の具で描き、レジンで制作した球体も付けた具象画。昨夏に制作に取り掛かり、今年1月に応募、2年連続の入賞となった。今年も副会長から「あんたの絵は本物や。絵から壮大な音楽が流れる」と賛辞をもらったという。
その評価を機に「音楽を感じるような絵を追求し、絵で演奏できないか」と考えている古賀さん。改めて絵画を「一から勉強しよう」とも思っているといい、「モチーフは夢の風景、『絵で音楽を』をコンセプトに描きたい。立体作品にも挑戦したい」と目を輝かせている。
古賀さんは活動の様子をインスタグラム(@chii_koga)で発信している。