【道観塚での法要の様子=名張市赤目町一ノ井で】

 奈良・東大寺二月堂のお水取り(修二会)で使う松明(たいまつ)を寄進する三重県名張市の「伊賀一ノ井松明講」の講員らが3月10日、今年2月に調製したたいまつ5荷を、平安時代に寄進を遺言したと伝わる「道観長者」の塚へ運び、法要を営んだ。

 この日は最初に、午後0時30分から同市赤目町一ノ井の極楽寺(中川拓真住職)で道観長者の追善供養があり、講員に加え、東大寺の第221世別当・筒井寛昭氏、市民団体「春を呼ぶ会」のメンバーら約50人が参加。同1時すぎ、山伏を先頭に極楽寺を出発した一行は、南東に約500メートル離れた「道観塚」まで10分ほど練り、塚に一人ひとり手を合わせていた。

 塚の前に立った森本芳文講長は「松明木を調進するよう遺言されて777年、私たち講員は日々精進し、言い伝えを今日まで守ってきた。立派なヒノキは一ノ井の里に先人たちが植林し、育ててきた里の恵みでもある。今後とも、一ノ井や名張が未来永劫(えいごう)に栄えるようお守りください」と祭文を読み上げた。

極楽寺から道観塚へ運ばれる松明=同

 同講の「松明調進行事」は今年で777回目を迎える。2月11日に調製されたたいまつは、コロナ禍の時期を除く2023年までは3月12日に徒歩やバスで県境の笠間峠を越えて運ばれていたが、昨年からは赤目口駅から近鉄奈良駅までの臨時列車に載せて届けられている。

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