【上野公園入口に集まったボランティアガイドの皆さん】

 三重県伊賀市を訪れる観光客に伊賀上野城や城下町などの観光案内をしているカルチャーボランティアガイド「いがうえの語り部の会」が創立30周年を迎えた。

 7代目に当たる田畑寛一会長(77)は「文化薫る伊賀の魅力を紹介するのが発足からの目的で、カルチャーボランティアガイドと名付けられた。伊賀に数多くある文化スポットに注目し、新会員を募集・養成しながら続けられたのは全国的にも例がなく、諸先輩に感謝している」と話す。

 会員は現在、30代から80代の54人で、30年の歴史の中でもピークに近い人数だ。定年退職する60歳と再就職を終えた65歳から加入する人が多いそうで、2、3年に1回開く「ガイド養成講座」を受けた後、案内役を務める。これまで開かれた7回の講座には計231人が受講し、104人が入会した。

 案内した観光客は、延べ7万2000人を数えるが、新型コロナの影響もあり、ピーク時の年間3000人台から一昨年は1500人に半減している。

 案内先は、8割強が上野公園内にある伊賀上野城や俳聖殿などで、田畑さんは「上野公園の他にも、城下町の町中にこそ歴史的な宝庫がある」と語り、今年4月からは「芭蕉さん句碑巡り」「伊賀流忍者城下町コース」「歴史的建造物見て歩き」「武家屋敷見て歩き」の4コースを新設することで、「一刻も早くピーク時の観光客を呼び戻したい」と力を込める。

 ポイントは、商店街の人たちと連係しながら、従来の観光スポット以外に老舗の菓子店やカフェなどにも立ち寄ってもらい、商店街の活性化に役立てること。また、伊賀鉄道とタイアップし、主要駅にPRちらしなどを置いてもらう。

活動の歩みなどを編集した「創立30年史」を紹介する田畑会長

創立史も発刊

 1年ほど前に銀行員を辞めてガイドになったばかりの杉山雅也さん(66)は、毎月第2、3土曜の午後1時半から伊賀上野城と俳聖殿の2か所で実施される「定点案内」に参加し、現地研修をしている。杉山さんは「先輩ガイドの方の研究熱心さには感心する。自分なりの説明方法を習得し、お客さまが私の説明を聞いて、伊賀にまた来たいと思ってもらいたい」と話す。

 同会ではこのほど「創立30年史」(A4判25ページ)を創刊した。冊子には歴代会長のメッセージや30年間の活動の歩み、案内実績数の推移、スナップ写真などが収められている。田畑会長は「当会の歴史の重みを知り、若い会員に引き継いでいきたい」と、発刊の目的を話した。

 ガイドを希望する場合は希望日と時間、団体(個人)名、参加人数(ガイド1人で10から15人程度)、モデルコースを明記し、希望日の10日前までに同会の電話(090・9264・1360=同会直通)、またはファクス(0595・26・7799)で申し込む。

- Advertisement -