【ギャラリーに並ぶ作品と髙田さん=名張市竜口で】

 「陶芸で人生の後半を楽しませてもらったこの地で、皆さんに支えられてきたことに感謝したい」。三重県名張市百合が丘東3の髙田和弘さん(83)が同市竜口に構える伊賀まちかど博物館「み和窯・工房&ギャラリー和」を閉館するに当たり、3月14から16日まで「さようなら ありがとう展」を開く。入場無料。

 鹿児島県出身で、約40年前に名張へ転居後、大阪への勤めの傍ら、妻みはるさんとともに伊賀焼の陶芸家・中村昇仙さんの教室に通った。2000年に教室仲間と竜口にまき窯を築き、05年にはその隣に、2人の名前から名付けた「み和窯」を築造。燃料となるアカマツのまき割りが髙田さんの日課で、年2回ほど窯に火を入れて数日間見守る夫婦2人の共同作業を楽しんできた。

 釉薬を使わず、約1300度の炎とアカマツの灰が生み出す焦げとビードロ、緋色が映える伊賀焼で、師にならった手びねりの丁寧な仕上がりが特徴的。「ただ作るのでなく、テーマや思いを込める」と話すように、東日本大震災の後には、津波に洗われながらも残った岩をイメージした花生けも作った。

 東京で開かれる「創造美術展」、名古屋や沖縄などでのグループ展にも出品し、地元の伊賀陶芸会では伊賀華道協会とのコラボ展などにも参加してきた。

 愛猫や、油絵を描くのが好きだったみはるさんは7年半前に他界。髙田さんは「一緒に窯造りをし、同じ趣味を楽しめたことが一番の思い出」と、亡くなった後に編集した2人の作陶記録の冊子を見返す。「何より長年見守って頂いた竜口区の皆さんを始め、支えてくれた陶芸仲間や友人など多くの出会いに感謝、感謝の気持ちでいっぱい」と語った。

 同展は期間中の午後1時30分から同4時まで。ギャラリーには花器、食器など百数十点が並ぶ予定。

 問い合わせは髙田さん(090・5035・6808)まで。

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