【川柳などを記録してきたノートを広げ、完成した本を手にする菅山さん】
喜寿を機に「自分の生きてきた証を残したい」と思い立った三重県伊賀市島ヶ原の菅山勇二さん(76)がこのほど、長年詠み続けてきた川柳や俳句、短歌を本にまとめた。YOUや日刊紙などに20年以上投稿し、掲載された計1841点を収録した424ページの「自分史」には、その時々の時事問題や家族の出来事、ふと湧いた感情などが詰まっている。
地元の島ヶ原商工会に勤めていた30代半ばのころ、県商工会連合会の機関誌に載せるために詠んだ2つの川柳「猫の手も 借りたいくらい 超多忙」「猫に手を 貸してやりたい 今は暇」。年度末の繁忙期とその直後との差を対比させた2句をきっかけに「川柳は面白い」と思うようになった。
以来、思いついた句をちらしの裏などに書いて推敲し、整ったらB5版のノートにつづっていくのが日課になり、ノートは十数年前に始めた俳句、短歌も含め40冊を超えた。今回収録したのは2003年9月から24年末までの分で、掲載された日刊紙をスクラップし、句や作品評をパソコンで都度記録していたからこそ、書籍化を決めてから約1か月で完成させることができた。
千差万別で面白い
ほぼ毎日詠むという川柳は「浮かんだこと、思ったことを17字にするだけ」で、政治・経済などの風刺的な句でも重くならないよう気をつけている。03年9月に毎日新聞「万能川柳」で秀逸賞を獲得したのは「ねえ総理 大きい泉に なってくれ」という、第1次小泉内閣への期待を詠んだものだった。
題名には「ひたむきに、まじめに」を意味する「一途一心」を冠した。B5版で50部作成し、一部は親しい人に贈ったといい、菅山さんは「これまで詠んできた句のように、千差万別だからこそ人生は面白い。読んだ方それぞれに感想を持ってもらえたらいい」と思いを話した。
2025年2月22日付887号3面から