【「カフェ フランセ」の店内=伊賀市上野丸之内で】

 2025年は「昭和100年」に当たる年。三重県伊賀地域には、そこだけ時が止まったかのような「昭和レトロ」を感じる場所が点在している。

 伊賀市上野丸之内の「カフェ フランセ」は、新天地商店街に面した映劇ビル1階にある。

 チリンチリン―。鈴を鳴らしながら扉を開けると、クラシック音楽が流れる木目の内装の店内にカウンター席とテーブル席があり、えんじ色の椅子とソファが並んでいる。

 落ち着きのある照明の下、利用客たちはコーヒーカップを片手に、本や新聞を読んだり、オムライスやハンバーグなどの食事を味わったり、思い思いの時を過ごす。

 カウンターの奥には世界各地のコーヒー豆が入ったケースが並び、寡黙なマスター中川久男さん(73)が一杯一杯、サイフォンでいれる。反対側の壁には存在感ある電話ボックスが鎮座し、ノスタルジックな雰囲気を高めている。

 店は中川さんが27歳の時に開業。当時は同じビルに上野映画劇場があり、映画館の利用客でもにぎわった。店名はフランス・パリの著名な劇場が由来で、県道56号(通称・銀座通り)を挟んだ約150㍍東には、姉夫婦が営んでいた同名の店もあったという。

 中川さんは「昭和100年と聞くと、時の流れはあっという間だと感じる。お客さんたちに喜んでもらうため、これからも店を続けていきたい」と話した。

 営業時間は午前7時30分から午後7時まで。日曜定休。

 問い合わせは同店(0595・24・0718)へ。

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