【バケツリレーをする参加者ら=伊賀市阿保で】

 文化財防火デー(1月26日)に合わせ、三重県伊賀市阿保の大村神社で25日、神社総代や自主防災組織、消防団など約130人が参加した防火訓練があり、国重要文化財の宝殿への放水、住民らによるバケツリレー、水消火器体験などが行われた。

 この日の訓練は、拝殿南側の宝殿付近から出火した想定で、午前9時30分に始まった。最初に金山修宮司が消防署へ通報し、社務所から宝殿の四方に設けられた消火設備を作動させ、水幕を張った。続いて、住民らが社務所裏から宝殿裏まで約50メートルにわたってバケツリレーを実践した。

水消火器体験の様子=同

 境内では他に、市消防本部や市消防団青山分団による煙道体験、ボーイスカウト伊賀第1団による救急法、新聞紙を使ったスリッパ作りの実践などもあり、日本赤十字奉仕団や敬神婦人会らによるご飯と豚汁の炊き出しも行われた。

 訓練終了後、伊賀消防署の中森伸一・警防第3課長兼南分署長は「防火・防災には地域や関係団体、消防団の皆さんらの協力が必要。毎年続けることでいざという時に役立つ。これからも訓練を続けていけたら」と講評を述べ、金山宮司は「長い歴史の中で地域の皆さんに守られてきた。今後もともに、神社や文化財を次の世代へ伝えていきたい」と謝辞を述べた。

宝殿を見学する参加者ら=同

 文化庁によれば、1949年1月26日に現存する世界最古の木造建造物・法隆寺金堂が炎上し壁画が焼損したことを機に、翌50年に文化財保護法が制定。55年から、文化財愛護と防火の啓発のため、年間で最も火災件数が多くなる1、2月にかけ、文化財を有する全国各地の社寺などで訓練が行われている。

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