【自著を紹介する渕脇さん=名張市で】

 三重県名張市さつき台2番町の渕脇逸郎さん(85)が、1995年に新風書房から出版した自著「西国遍路と俳句」の英語版電子書籍を2024年8月に発刊した。「海外でも俳句をたしなむ人が増える中、英訳された俳句や言葉から、日本人の人生観や日本語の多様性を知ってほしい」と願っている。

 自著は会社勤めをしていた95年、西国三十三か所を中心に関西の社寺を歩いて吟行した記録をまとめたもので、2019年に電子書籍化した際、「俳句と社寺散歩 趣味と運動を楽しむ」に改題。随筆や近詠句を加えて再編集し、「アマゾン」のキンドル版電子書籍ストアで販売していた。

日本独特の言葉

 「特に俳句は、日本語をそのまま訳すだけではうまくいかない。日本独自の言葉はそのまま生かしたい」。俳句に関する用語や行程の説明を加えると文章量は増えるが、「自分がどんな行程をたどったか、どんな暮らしをしているか、雰囲気や感覚が伝わるように英訳するのに苦心した」と振り返る。

 英語版の「Haiku and Shrine Temple walks」は191ページで、アマゾンのキンドルストアから税込み480円で購入可能。渕脇さんは「紙の本から手軽に入手できる電子書籍、英語版まで、三種三様の本ができた。日本語版と英語版を並べて読む体験もできるので、好みのものを手に取って」と話した。

2024年12月7日付881号8面から

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