倉阪大輝さん(23)
創業104年の歴史を持つ和菓子店「くらさか風月堂」(三重県伊賀市上野車坂町)の4代目。大阪府枚方市の和菓子店で5年間の修業を終え、今年4月から伊賀に戻り家業に就いた。
「子どものころはうちの和菓子を友だちが食べて喜んでくれるのがうれしく、家業に特別感を持っていた」。長男として、いつかは自分が継ぐという意識で進路を決めてきたという。伊賀白鳳高校パティシエコースへ進み、自分の手で菓子を作る楽しさを知る一方で、夜中まで一人で仕込みをする父の姿を見て店を続けることの大変さも感じた。
卒業後は親元を離れ、初めての一人暮らし、仕事に明け暮れる日々。「大変でしんどかったが5年は頑張ると決めていた。外へ出て学んだことを一つでも持って帰りたかった」
伊賀に戻ってからは父親の元で菓子作りを学びながら、新商品の開発やイベントへの出店などにも挑戦した。「自分の作った菓子を喜んでもらえ、直接感想を聞けるのが刺激的でうれしい。一つひとつ丁寧に仕事して、お客さまの顏が見える商売を続けたい」と話す。
和菓子職人としての自覚が芽生えるのと比例して「数百円の菓子で3人の子どもをここまで育ててくれた両親のすごさが分かった。感謝して家業をつなげたい」と意気込む。
休日は趣味の卓球へ出掛ける。週に一回程度、無心で汗を流す時間がリフレッシュになっている。
2024年11月23日付880号7面から
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