【鐘の復活を喜ぶ前川住職=山添村春日で】

 80年の時を経て、再び鳴り響いた鐘の音―。奈良県山添村春日の「やまぞえ不動院」で、第二次大戦中に供出のため無くなっていた鐘と鐘楼堂が、檀家や地域住民らの手で再興された。間もなく訪れる年越しには大勢の住民らが除夜の鐘つきに訪れる。

 縁起によれば、不動明王を本尊とする同院の創始は1570年代と伝わり、鐘楼堂は1795年、深盛上人の代に建立された。江戸末期の大地震で倒壊したものの、11年後に再建。鐘は1944年に供出されたままになっていたが、総代会を中心に2022年2月から再建に向けて準備を進めてきたという。

落慶式に200人

 神仏具などを製造する富山県の業者に依頼して新造された鐘は、重さ約600キロの青銅製で、12月7日には、檀家や住民ら約200人が集まって落慶式が開かれた。総代長の野村修二さんは「多くの方々のご協力のおかげで今日を迎えることができた。いつまでもこの鐘の音が鳴り響いてくれることを願う」と感謝の言葉を述べた。

 落慶式を終えた22代目の前川良基住職(51)は「平和の祈り、ご先祖の供養、皆さまに幸せを運ぶ、という3つの思いを込め、この鐘を鳴らし続けたい」と思いを語った。

 12月31日午後11時からは除夜の鐘つきが行われ、年越しそばの接待(先着200人)もある。

 問い合わせは同院(0743・85・0171)まで。

落慶式後の餅まきの様子=同
- Advertisement -