奈良県宇陀市室生三本松の道の駅「宇陀路室生」に隣接する「こもれび市場」の駐車場を飛び立つドローン――。11月初旬にあった日用品を配送する実証実験の風景だ。
奈良県が物流ドライバーの人材不足などの課題を解決するため、次世代技術のドローンの活用を図る取り組みで、そのトライアルを各市町村に呼び掛けたところ宇陀市が真っ先に手を挙げたという。
同市は山間部が多く、高齢化率も高いことから、ドローンを使った買い物支援に着目した。具体的には、室生西谷地域をモデル地区に選定し、スーパーの食料品や日用品を、こもれび市場からドローンで運ぶというもの。
ドローンの大きさは高さ約1メートル、プロペラを延ばした直径は3メートルほどあり、約30キロの重量物を運べる。行きは、食料品や洗剤など売れ筋の50品目の日用品を西谷集会所や龍口地区集会所など指定された3拠点に運ぶ。また、こもれび市場に出荷する西谷地区の農家から野菜などの作物を運ぶ実証実験も行う。12月5日までテスト飛行を繰り返し、さまざまな課題を抽出するという。
事業を推進する市政策推進課の藤田茂樹課長は「独り暮らしや高齢者世帯が増え、スーパーなどが近くに無く、公共交通機関の利用も不便な山間部が多いため買い物支援は喫緊の課題。全世代が住み続けられるまちの実現に向け、今回の実証実験で多くの方に使用してもらいたい」と話している。
ドローンの発着起点になる同市場では「今後、ドローン便を活用した入出荷が増えればありがたい。早期の実現を期待している」と話している。
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