三重県伊賀市の伊賀鉄道は11月15日、運賃の値上げを中部運輸局に申請したと発表した。改定予定日は2月1日。現行運賃に対し大人の初乗りで20円増の220円に、約6割の乗客が利用する通学定期は1か月で最大530円増の8080円になる。

 運賃値上げは消費税率の引き上げによる2回以外では初めてで、約5年半ぶり。アップ率は普通運賃が8・2%、通勤定期が15%、通学定期が7%となり、最も利用が多い上野市‐伊賀神戸間で普通が30円増の400円、1か月通勤が2050円増の1万5700円、1か月通学が460円増の7070円に改定される。

 また、今回の改定に合わせ、新たに12か月の通学定期券を販売する。有効期間は4月から翌年3月までの固定で、上野市‐伊賀神戸間の場合、現行の6か月定期券を2回購入するのに対し、130円安い7万1270円になる。

 同鉄道の乗客数は2008年度の204万2000人をピークに減少の一途をたどり、23年度はコロナ禍の影響が残る前年度よりも4万3000人下回る111万8000人に落ち込んだ。収支状況は人件費の増大を始め、物価や電気料金の高騰などの影響を大きく受け、1億2400万円の赤字を計上した。

 増田政俊常務は今回の運賃改定について「鉄道事業の存続が危ぶまれる状況であると考えている。伊賀地域のライフラインとして鉄道の使命を果たすため、申請に及んだ」と負担増に対する理解を求めた。

 市内の15駅を結ぶ同鉄道伊賀線は路線距離が16・6キロ。伊賀上野駅でJR関西線、伊賀神戸駅で近鉄大阪線と接続している。07年10月に近鉄と沿線自治体の同市が出資する第三セクターとして運行していたが、17年4月からは伊賀市が鉄道施設などを保有・維持管理する公有民営方式に移行した。

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